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4月28日のまにら新聞から

主犯の司法取引は茶番。補助金不正流用事件

[ 720字|2014.4.28|社会 (society)|新聞論調 ]

 ナポレス被告が補助金不正流用事件について何を供述しようが、司法取引はできない。司法取引で免責するための必要条件は主犯級でないこと。司法省と行政監察院がすでに公表した証拠だけでも、被告が事件の重要犯であることを示している。

 今後、政治家を主犯だと主張することはできるが、架空の民間団体と事業をでっち上げ、補助金を洗浄する複雑な手口は、被告の民間企業なくして成り立たない。

 少し前なら司法取引もできただろう。事件が明るみになった直後の昨年8月、社会学者のランディ・ダビッド氏は、早々にナポレス被告を主犯と決めつける論調に警鐘を鳴らした。十分な証拠が必要なこと、国会議員の知識と承認なくして補助金は支出されないことを強調した。

 立派な見方だが、ナポレス被告が徹底黙秘を貫いた上院委員会の聴聞会の前だったから、言えたことだろう。捜査は進展し多くの証拠が提出された。3上院議員の直接関与に加え、ナポレス被告の仲介者、遂行者としての不可欠な役割が明らかになった。

 被告の心変わりを歓迎するなと言っているのではない。身の安全を確保するのではなく、良心の呵責(かしゃく)を和らげるためならすべてを話すべきだ。そうすれば国民はなぜ、どのように不正が行われたか明確に理解できる。しかしこの「明瞭さ」を司法と引き替えてはならない。

 補助金を返納し、共謀した国会議員の名前を明かし、上院議員を刑務所に送るに足る証拠書類を提出することもできる。それでも免責は受けられない。有罪判決が下れば、減刑や体調を考慮した特別措置は考えられる。しかしそこまでだ。全面供述と引き替えの免責は法の精神に反し、司法を茶番にしてしまう。(25日・インクワイアラー)

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