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11月6日のまにら新聞から

3年ぶりに再開 油断禁物の対面授業

[ 839字|2022.11.6|社会 (society)|新聞論調 ]

(論調)3年ぶりに何百万人もの学生が教室へ戻り、公立学校で完全対面授業が始まる。しかし、台風22号(比名パエン)による甚大な被害のため、対面授業再開は遅れる可能性が出てきた。

 3年ぶりに何百万人もの学生が教室へ戻り、公立学校で完全対面授業が始まる。しかし、台風22号(比名パエン)による甚大な被害のため、対面授業再開は遅れる可能性が出てきた。民間学校については、対面・遠隔の混合授業が許可され、教室内で物理的距離を保つことも可能となる。

 新型コロナウイルスが変異を続け、自然免疫やワクチン免疫の両方からも影響を受けない変異株が生まれているにもかかわらず、対面授業は再開された。「パンデミック疲れ」も顕著になり、コロナ禍前の生活を取り戻すため、感染リスクを冒しても構わないという人が増えてきている。今年度の始まりとともに、一部対面授業が再開されたが、学生や教職員ら学校関係者間で感染が報告された。専門家はワクチン接種や追加接種が遅れていることから、対面授業の全面再開に注意を促してきたが、利害関係者との協議の結果、再開に踏み切った。

 今すべきなのは公立学校で実施されるであろう屋内マスク義務化の解除によって最悪の事態が現実にならないようにすること。対面授業の一部再開ではマスク着用や換気、温度管理、消毒、手洗いなど感染リスク軽減策の必要性が示された。多くの低所得者層の学生が狭い住居で幼児から祖父母まで数世代の親族と一緒に暮らしている。これらの人々は感染に対してぜい弱で、10月末時点で6万4074人を死に追いやったこの病から保護する必要がある。

 地方自治体は特に感染にぜい弱な層に向けてワクチン接種率を上げる取り組みを強化すべきである。これは市民を守るだけでなく、貴重なワクチンが無駄になるのを防ぐためでもある。50億ペソ相当のワクチンがゴミ箱行きになり、民間部門は失望を隠せずにいる。また十分な公共交通機関も必要で、学生が盗難や痴漢などに巻き込まれないようにすべきだ。

 対面授業の再開は経済活性化を後押しする。全ての関係者が感染拡大の再来によってロックダウンなど規制強化する羽目にならないよう取り組まなければならない。(2日・スター)

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