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政府による招へい実現へ 8月、残留日本人帰国事業

2025/7/18 社会
上原レオノラさん(右)と竹井ホセさん=PNLSCニュースレターより

8月に政府の招へいによるフィリピン残留日本人の帰国事業が実現へ。国籍回復のための手がかり探す

外務省に協力して戦後無国籍状態に置かれた残留日本人2世の国籍回復を支援しているNPO法人「フィリピン日系人リーガルサポートセンター(PNLSC)」は16日、石破茂首相が意欲を見せていた公費による残留日本人2世の一時帰国事業が、8月に実現するめど立ったことを発表した。それによると、帰国日程は8月6日から10日、8月後半の2回にわたる見込み。帰国者候補は、4月に石破首相と面会した竹井ホセさん(82)と、上原レオノラさん(85)の2人。政府の招へいによる帰国というかたちを取る。残留2世のほとんどを占める日本人父、比人母との間に生まれた2世への、公費による帰国事業は初。

 石破首相は3月、参議院予算委員会で、8月15日の終戦記念日までの公費による一時帰国事業の実現を求める塩村あやか議員(立憲民主党)の質問に対し、「戦後80年は一つの区切り」とし、国費負担による渡航・親族探しの支援は「十分理由のあることだ」と踏み込んだ。さらに、4月末に首相がフィリピンに訪問した際は、寺岡カルロス元バギオ名誉総領事と、無国籍状態にある松田サクエさん・竹井ホセさんの計3人の二世に面会。「一日も早く一時帰国や国籍回復が実現するようできる限りのことをする」と伝えていた。首相のこうした積極姿勢を受け、外務省は検討を重ね、予算にめどを付けた。

 竹井ホセさんは、比国鉄の技術者をしていたという日本人父・銀次郎と比人母との間にラグナ州サンパブロ市で生を受ける。日本軍にも協力していたという父とは、戦時下に離別。父の写真などの手がかりもあったが、戦後の混乱で紛失した。2009年に、父の記録が厚生労働省保管資料から見つかり、父は戦争を生き延び日本に帰還していたことが分かったが、既に死亡していることも判明。竹井さんは、日本に住む血を分けた親族への対面も希望している。

 東ネグロス州シキホール島生まれの上原レオノラさんは、「シゲコ」という日本名を持つ。夭逝した弟の出生記録が見つかったことにより、父親の名前が上原タケシ(またはタクイシ)だったことや、出身地が沖縄県であることが分かっているが、身元特定には至っていない。父は1945年に病死。今回の一時帰国では、父の身元に関する手がかりを求める。

 2人の滞在中、PNLSCはNPO法人無国籍ネットワークとの共催でシンポジウムを開催する。当事者の生の声を届けることで、残留日本人2世問題の理解拡大をはかる。開催日時は8月9日で、場所は早稲田大学。

 戦前、バギオ市やダバオ市を中心に移住した日本移民は最盛期は3万人規模に発達。しかし戦時中に日本人父が死亡し、または戦後に強制送還されたことで、当時送還の対象とならなかった未成年の2世は比に残された。当時の両国の法律では、子どもの国籍は父親の国籍に従う父系主義。そのため、残留2世の国籍は法律上は日本となるはずだが、厳しい迫害や「日本人狩り」から身を守るため、父とのつながりを示す写真などを処分するなどし、日本人の子であることを隠して数十年生きざるを得なかったため、多くの2世が無国籍状態となった。

 これまで残留2世は約3800人確認されており、うち約1600人が国籍の確認や回復ができたが、一方、高齢化が進む中で約1800人が国籍未回復のまま死亡。現在、生存が確認され、かつ日本国籍の回復を希望している2世は、49人まで減っている。(竹下友章)

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