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「愛すべき人々が見つかる」 長い待機期間乗り越え出発

[ 1463字|2022.7.21|社会 (society) ]

JICA比事務所で海外協力隊第175期3人の出発式が開かれた

海外協力隊出発式で宣誓する3人の隊員。写真奥左から宮川好美さん、関口卓弥さん、久保純さん。手前右端はJICAフィリピン事務所の坂本威午所長=19日午後4時ごろ、首都圏マカティ市で岡田薫撮影

 首都圏マカティ市の国際協力機構(JICA)フィリピン事務所で19日、JICA海外協力隊3人のための第175期出発式が開かれた。3人は、比国家経済開発庁ボランティア調整局(PNVSCA)主催による首都圏での14日間の派遣前研修をこのほど終了した。式直前には隊員の各配属先を迎えてのオリエンテーションが持たれ、隊員が円滑に安全な形で実地活動を行うに当たっての最終的な調整が行われた。

 JICAフィリピン事務所の坂本威午所長はスピーチで「歴史的でこの興奮を抑えきれない。新型コロナ以来、この愛しい国にボランティア隊員を再び迎えることができた」と強調。隊員が「日本で愛する人たちと離ればなれにならざるを得なかった」事実に触れ、今後の「一定期間をフィリピンの地域社会で過ごし、その発展に尽くしていく。ここでもカウンターパートや隣人といった新たな愛すべき人々が見つかると信じている」との言葉も送った。

 前回JICAのボランティア隊員としてイロイロ市レガネス町のNGO「イロイロ障害者協同組合」に派遣されていた障害児・障害者支援が専門の久保純さんは、任期半ばの2020年4月に泣く泣く帰国、今月6日に同隊員として比に再入国・復帰を果たした。ただ、残りの任期6カ月間の活動は、コロナ対策などのため、首都圏から遠隔で継続する。

 早稲田大学でスポーツ科学を専攻した久保さんは実家のある大阪や家族構成、過去の教師歴などを、時に赴任先で使用言語であるヒリガイノン語を交えながら、ユーモアを込めて自己紹介した。また、動画アプリ「ティックトック」で人気だという独特なダンスも披露して会場を沸かせた。

 カビテ州ロサリオ町のカビテ国立総合大ロサリオ校に配属され、今後はパソコンインストラクターを務める関口卓弥さんと、首都圏パシッグ市のリサール技術職業高校で、日本の食文化や栄養をはじめとする調理・料理に関する講師となる宮川好美さんの2人は、2019年3月から日本で約70日間の出発前研修を受けた組だ。研修後の長かった待機期間を振り返った宮川さんが涙ぐむ場面もあった。

 かつて同隊員としてタイで手工芸を教えていた宮川さんは、着物姿で式に参加し、帯の結び方のバリエーションやカラオケを披露。一方で、研修で5日間教わった「タガログ語は難しい」と話す関口さんは、一般社団法人電子情報技術産業協会が開発したゲーム感覚でプログラミングを体験するための「課題解決型」ゲームソフト「アルゴロジック」を紹介し、関係者の関心を呼んでいた。

▽コロナ禍で大半が帰国

 比を発展に導く形での国際ボランティア団体との連携を続けてきたPNVSCA。そのエラビクトリア・サルマゴ主任ボランティア・サービス担当官はまにら新聞に「コロナ禍で国際ボランティアの大半が帰国し、約400人いたボランティアが現在65人まで減った。残ったのはフランスやドイツ、ポーランドといった国の人たちだけ。JICAや韓国国際協力団、オーストラリア・ボランティア・プログラムといった政府支援のプログラムは2020年3月に一斉に引き上げてしまった」と語った。

 同担当官によると、現時点で国内にいる国際ボランティアは、医療機関へのアクセスがより整ったルソン地方に集中。一方で「23年までに米国の平和部隊が60~80人のボランティアを送る計画がある」。支援が集中している分野は教育で、理数やICT(情報通信技術)教育、職業訓練、困窮児童向けの学習指導や奨学金に関するものという。(岡田薫)

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