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3月12日のまにら新聞から

「福島原発事故から教訓を」 原発導入令に抗議 3.11から11年で環境団体

[ 1194字|2022.3.12|社会 (society) ]

福島原発事故から11年の11日、国際環境NGOグリーンピースは政府とエネルギー省に原発導入の大統領令撤回を求め抗議活動を行った

防御服とガスマスクを身に着け、放射線廃棄物に模したドラム缶を前に置いて比の原発導入に抗議するグリーンピースのメンバー=11日(グリーンピース・フィリピン提供)

 東日本大震災と東京電力福島原子力発電所の爆発事故から11年が経った11日、国際環境NGOグリーンピースは首都圏タギッグ市のエネルギー省本部前で、政府と同省に原子力発電導入の大統領令の撤回を求める抗議活動を行った。

 福島原発事故を象徴するような放射線対策用の全身防御服とガスマスクを装着したグリーンピースのメンバーは「危険で汚染されたエネルギー省」と書かれたプラカードを掲げ、「放射線廃棄物」を模したドラム缶を持って抗議活動に臨んだ。ドゥテルテ大統領が2月28日に署名したフィリピンの電源構成に原子力発電を組み込むことを定めた大統領令第164号の撤回を求め、原発導入の中止と安全でクリーンな再生可能エネルギーの比重を大きくすることを要求した。抗議活動は、止めに入った警察官らによって強制的に終了させられたという。

 エネルギー転換に関する活動の広報担当、ケビン・ユーさんは「新型コロナを含め12兆ペソという過去最高の負債とロシア情勢で進む石油高騰に直面している今こそ、考え直すべき」と訴えた。原発についての議論では、稼働後はコストが低く二酸化炭素排出量が少ないなど、たいてい表面的な良い点ばかりに議論が集中すると指摘。「原発は建設に平均10年かかるとされている上に、仕組みそのものも気候変動に大きく影響するため、地球環境に優しいわけがなく、そのしわ寄せで苦しむのは国民。万が一事故があった時の計り知れない危険性に晒されるのも国民だ」とし「福島原発事故後から11年経った今でも議論が続く汚染水問題など、影響は決して国内に留まらないことにも留意すべき」と批判した。

 さらに、ユーさんはまにら新聞に「過去のチェルノブイリ原発や福島原発だけでなく、現在進行中のロシアのウクライナ侵攻では核施設の攻撃や核兵器をめぐり、世界中がその危険性を目の当たりにしているはずではないのか。特に3月11日の今日、福島原発事故の惨劇を振り返り、教訓を得なければならない」と強く語った。次期大統領には「ドゥテルテ大統領が署名した大統領令の撤回を最初の任務とすることを求める」と訴えた。

 福島原発事故は、約2万人の死亡者・行方不明者を出した2011年3月11日の東日本大震災の地震に伴う津波により発生したとされている。50万人以上が避難を強いられ、放射能で約24万平方キロメートルが汚染された。事故発生後に放射能汚染から逃れるため、比に一時滞在していた日本人もいた。バギオ市では、在留邦人が日本人の母子を受け入れるゲストハウスを開いた例もある。

 また、当時のベニグノ・アキノ大統領は震災と津波で甚大な被害を受けた宮城県石巻市を11年9月26日に訪れ、100万ドルを寄付。同市に訪問した外国首脳は初めてだった。さらに、比政府は被災地へ医療支援チームを派遣、在日比人の精神ケアなどに尽力した。(深田莉映)

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