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12月5日のまにら新聞から

空爆などでNPA16人が死亡 負傷者も30人以上に

[ 910字|2021.12.5|社会 (society) ]

ビサヤ地方イロイロ州で、国軍の空爆によりNPAの16人が死亡した

 ビサヤ地方イロイロ州ミヤガオ町で1日午前6時ごろ、共産党の軍事部門、新人民軍(NPA)と国軍との間で激しい戦闘があり、NPAの16人が死亡した。また、国軍は空爆や迫撃砲を使用してNPAの陣地へ攻撃を行ったため、NPA側に負傷者約30人が出ているという。

 第301歩兵旅団傘下のロエル・マグララン国内作戦担当官は1日、政府軍が現場からNPA構成員8人の遺体を回収したことを発表。3日になって、国軍は死傷者が2倍に膨れ上がったことを発表していた。作戦を実施したのは第61歩兵大隊と第33師団偵察部隊で、FA50戦闘機が後方支援に投入された。

 大規模な戦闘となった理由に関して、同担当官は「通常NPAの陣地付近には地雷が埋まっていることから、部隊は容易に近づけない。そのため空からの支援や野戦砲を使用した」と説明した。戦闘は数時間続き、現場からはM16ライフルやAK47などの高性能火器が押収されたという。

 当初発表の8人の身元は特定が済んでおり、中にはアンティケ州サンレメジオ町出身で、同地域のNPA第3部隊リーダーだったロジャー・ペドロ容疑者も含まれている。東サマール州ドロレス町でも今年8月16日、国軍とNPAとの間で空爆を伴う激しい戦闘があり、NPA構成員18人が殺害されている。

 農地改革推奨全国ネットワーク(NNARA)の若者による団体は3日、農村への国軍による空爆が、人権侵害やジュネーブ条約、国際法に違反しているとして、強く非難する声明を出した。

 ▽一方的な殺戮

 同団体は声明で「ミアグアオ町アリモディアスでの早朝からの無差別爆撃や迫撃砲の使用が、農村のコミュニティーや家屋の破壊、人々に恐怖のトラウマを植え付けている」と指摘した。同声明によると、早朝、周辺には3度の大きな爆発音がとどろき、後に4度の大爆音がした。地区には最大4・5メートルの深さで、6メートル幅の着弾痕も見つかっているという。

 また、遺体はバラバラに吹き飛んでおり、「もはやNPAかどうかの判別もつかない」とした上で「戦闘などではなく、一方的な殺戮(さつりく)だ」とも批判した。(岡田薫、ロビーナ・アシド)

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