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12月3日のまにら新聞から

「投資が唯一の貧困解決手段」 JFC主催比経済フォーラム

[ 1482字|2021.12.3|経済 ]

外国人商工会議所連合が主催する経済フォーラムがオンラインで開かれた

経済フォーラム「アランカダ」で基調講演を行うジョクノ中銀総裁=1日

 外国人商工会議所連合(JFC)が主催し、今年10回目を迎える経済フォーラム「アランカダ」(推進)が1日、オンラインで開催された。フォーラムには政府関係者や民間エコノミストが参加、、活発な討議を交わした。フィリピン日本人商工会議所からは松永啓一会頭が出席。同氏は「日本企業は100年以上にわたり比に投資してきた。小売自由化法改正案や公共サービス法改正案の制定で比の投資環境は一層改善される」と述べ、日本企業にさらに比への進出機会を提供していくことを約束した。

 ジョクノ中銀総裁は、中銀の最新統計を提示しながら比経済の基礎的指標(ファンダメンタル)の推移を説明。

 失業率は9月現在8・9%と高いが就業者数は4360万人と既に「19年までの水準を超えている」とし、雇用の改善を示した。

 インフレ率については、現在目標値(2〜4%)を超えているものの「9月以降減少傾向にあり、来年は3・3%に収束する」との予想を提示。低利政策は「融資を促進し、政府の財政政策を助けている」とし「経済の回復に必要な限り継続する」と明言した。

 その上で、最近の感染者数が千人を切る水準まで下がっていることを示し「安全に経済を再開できれば22年の経済成長率は7〜9%に達する」とした。

 ▽嵐で木は根を張る

 民間企業からはマッキンレーフィリピンのジョン・カント氏が基調講演を行った。同氏は「嵐は木に深く根を張らせる」という言葉を引用。コロナ禍でデジタルシフトが進んだ結果、比では17年に消費者の12%しかいなかったオンラインバンクの利用者が、21年には85%まで急増していると指摘し、金融業や、オンラインサービスが急激に進歩した小売業や飲食業などが、食料製造業や建設業と共に「来年の比経済成長をけん引する」とした。

 さらに、EU企業の67%、米国企業の80%が生産拠点を中国から他のアジア諸国に移転することを検討しているにもかかわらず、2015〜20年まで比への海外直接投資流入は5カ年平均で3%しか伸びていないと指摘。外資を呼び込むには「一般的に投資を呼びかけるより、雇用創出力のある産業・企業にターゲットを定める戦略性が重要だ」と指摘した。

 

 ▽援助で貧困解消せず

 アテネオ大法学部のアンソニー・アバッド教授は、途上国の経済開発の観点から外資の必要性を指摘。貧困の低減を「経済成長の条件の一つ」とし、低所得が投資や教育を阻害しさらなる貧困を招く「貧困の悪循環」について「慈善事業や援助を通じては脱却できない。資本蓄積のみが解決する」と説明した。

 その上で「長期的な投資をもたらすのは海外直接投資だ」とし、シンガポール、マレーシア、ベトナム、中国は外資を積極的に受け入れることで「合計数億の貧困層を中間層に引き上げることに成功した」と述べた。

 外資を呼び込む方法としては資本規制の撤廃を強調。「新興企業は1万5000ドルで事業を始められる」とし、外国資本40%超えの国内市場向け企業が、払い込み資本金最低20万ドルの要件を課されていることを「有害無益だ」と断じた。また、外資規制の法令を単純・明確化する必要性も指摘。「法律が分かりにくいだけで資本は別の国を選択する」とした。

 同氏はさらに長期的な目標として、1987年の憲法の改正を主張。「87年憲法には具体的な資本規制の条項がある。基本法でここまで具体的に規定するのは異常だ」とし「法律の経済に対する影響を理解できる専門家によって憲法の改定が進められるべきだ」と主張した。(竹下友章)

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