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2月21日のまにら新聞から

国民の意思に正当性を 副大統領選訴訟

[ 657字|2021.2.21|社会 (society)|新聞論調 ]

 負けた陣営は権利上、認められている控訴を検討中とも伝えられる。しかし、2016年の副大統領選でロブレド副大統領に不正行為があったとするボンボン・マルコス元上院議員の訴えを、最高裁判事で構成する大統領選特別法廷(PET)が全会一致で退けたことの意味は大きい。マルコス氏の逆転の可能性は非常に低いだろう。

 不幸にも副大統領への侮辱が習慣化している大統領府でさえ、PETの下した判決を尊重するよう広く呼び掛けた。新型コロナウイルスとの戦いに追われ、次期総選挙を1年後に控える中で、PETは争う両者に「目の前の多くの危機と向き合うべきだ」と諭している。

 法廷に費やされた5年近い期間は長く、もっと早い解決が望まれた。選挙で選ばれた人間の正当性は、終わり間際にでなく、始まりから認められるべきだったが、次期選挙まで1年余りあることは不幸中の幸いだ。

 元上院議員だった故アキリノ・ピメンテル氏は、1995年選挙時に水増しや偽の投票を行った疑いを掛けられ、嫌疑が晴れたのは上院議員の任期を終えた後のことだった。選挙をめぐる係争への対応の遅さは、国政および地方の選挙における不正行為を助長している。

 正式に選ばれた者が法的な係争に直面した場合、国民の信頼は揺らぎ、奉仕する仕事にも影を落とす。副大統領選問題が決着した今、最高裁は残りの選挙法廷の解決に尽力してほしい。選挙は民主主義で国民の権力が発露される究極の場である。国民の意思表明に正当性を与えるため、あらゆる努力がなされなければならない。(18日・スター)

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