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5月3日のまにら新聞から

悲劇の繰り返しを防げ 病院の治療拒否

[ 679字|2020.5.3|社会|新聞論調 ]

 「新型コロナウイルスが世界の医療施設を席巻している」。この言葉は、子どもを出産後、胎盤を取り除く手術をする病院が見つからず、妻を亡くしたジャン・ブラタオさんが納得出来る理由にはならない。

 妻のキャサリンさんは4月24日、首都圏カロオカン市の自宅で助産師の助けで出産したが、子宮内から胎盤が取り出せなかった。夫妻は市内の病院へ向かったが「十分な血液がない」と告げられ、ケソン市の病院では「コロナ患者で部屋が不足している」と断られた。同市のファーイースタン大病院では前金3万ペソを支払うよう要求されたが、そんなお金はなかった。

 カロオカン市に戻り、別の病院へ向かったが、手術用の設備がないと言われ、ブラカン州サンホセデルモンテ市へ。2つの病院で「担当できる産科医がいない」と告げられた。数時間が経過し、受け入れが決まった病院に到着した時にはキャサリンさんは出血多量で死亡していた。

 この事件は特殊ではない。4月9日には、ヌエバエシハ州のラディスラオ・カブリンさん(65)が急患病棟の空きがないとして6つの病院で追い返され、死亡している。

 共和国法8344号は、病院による急患の治療拒否を禁止。共和国法10932号では、病院が重症や緊急の患者から前金を要求することを禁止している。何年も前から存在している法律を病院関係者は認識しているはずだ。

 キャサリンさんの死に関して国家捜査局が調査を始めたと報じられている。彼女やカブリンさんを生き返らせることはできない。ただ、彼らのような悲劇の繰り返しが起きないことを望んでいる。(4月29日・スター)

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