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4月26日のまにら新聞から

パンデミックの歴史 ペスト、スペイン風邪

[ 652字|2020.4.26|社会 (society)|新聞論調 ]

 詳細な記録が残る最初のパンデミックはペストだ。ネズミに寄生したノミによって運ばれた細菌に由来するこの病気は、ユスティニアヌス1世の治世中の6世紀にビザンチン帝国で広まった。542年にコンスタンティノープルを襲い、内陸部は東向きに小アジアに、西はギリシャとイタリアに広がり約2500万人が死亡したとされる。

 ペスト流行の第2期は中世後期で、黒死病と呼ばれ、当時のヨーロッパ人口の3分の1が亡くなった。

 18世紀後半から20世紀にかけて再び中国、米国などで流行。1894年までに中国・広東省だけで8万人が死亡した。

 ペストと並ぶパンデミックとして知られているのはスペイン風邪だ。1918年1月に発生して20年12月まで続き、当時の世界人口の4分の1に当たる5億人が感染、死者数は1700万人から5000万人と推定されている。1億人に達したとの説もあり、人類史上最悪のパンデミックの一つとされる。

 アジアではインドの犠牲者が最も多く1200万〜1700万人、中国100万〜128万人、日本39万人以上、現在のインドネシアで150万人が死亡したとされている。

 スペイン風邪は、今回の新型コロナウイルスとは逆に高齢者より若者が数多く死亡した。疾患に対する免疫系の過剰反応がその理由の一つとみられている。今回の新型コロナウイルスは感染症全般としてはエイズウイルス以来、似た病としてはスペイン風邪以来の犠牲を世界にもたらしている。神のご加護がありますように。(22日ブレティン、アート・ブリオン)

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