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2月15日のまにら新聞から

ハロハロ

[ 594字|2016.2.15|社会 (society)|ハロハロ ]

 団地の茶飲み仲間が帰宅途中に駅のホームから転落し、特急電車にはねられ死亡した。定年を1カ月後に控え、第2の人生設計の準備に入った矢先の事故だった。世話好きで誰からも親しまれ、初孫の誕生を人一倍喜んでいた。酔った姿を見せたことがないほどの酒豪で、会合に焼酎の特大ボトルを持ち込み、みんなを驚かせたこともある。通夜に配られた「追想のしをり」を読むと、奥さんら家族の無念さが痛いほど伝わってきた。

 ホーム転落事故で思い出すのは東京のJR山手線新大久保駅で起きた事故だ。転落した男性を助けようと日本人カメラマンと韓国人留学生が線路に飛び降り、3人とも電車にはねられ死亡した。事故発生から15年目を迎えた先月26日、韓国から両親らが来日し、現場を訪れて花を手向け供養した。「人身事故で運転中止」。こんなテロップがテレビで流れると、仲間の事故以後、やけに気になるようになった。

 事故後、新大久保駅をはじめ山手線全駅に転落防止の可動式ホームドアの設置工事が進められ、今年3月末までに予定駅での設置を完了するという。しかし、多額な費用負担などから設置に向けて鉄道各社の動きは鈍い。仲間が事故死した鉄道では本線32駅のうち、ホームドアがあるのは4駅にとどまる。その間にも転落事故は後を絶たず、国土交通省によると、14年度は227件発生し、34人が死亡、いずれも前年度を上回った。(富)

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