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6月16日のまにら新聞から

ハロハロ

[ 739字|2014.6.16|社会 (society)|ハロハロ ]

 マカティに住む私は早朝、近くの公園を散歩するのを習慣にしているが、公園に毎朝「通勤」して来る70歳ぐらいのおばあさんがいるのに気付いた。見るとはなしに見ていると、大小の袋五つを両手に提げて、芝生の「定位置」に座ると1日が始まる。周辺の芝生の間に生える雑草を抜くのが日課だ。時々、公園の清掃員と縄張りで口げんかしている。ホームレスではないが、袋を下げている様子からするとホームレスとも見まちがっても不思議ではない。しかし、おばあさんは「自分の生活風習」をきちんと守って日々実践しているように思えて、感心している。

 いろんな都市で乞食を見てきた。驚いたのは、ローマの中にあるバチカン市国の正面から200メートルほど右の石垣の前を「定位置」にしていた乞食だった。包帯で両足をぐるぐる巻きにして、路上にべたっと座って観光客にお恵みを請うていた。歩けないようだ。近くのバールでコーヒーを飲んでいたら、すごい勢いで雨が降り出した。だれかピックアップするのかと気になって見ていたら、乞食は手荷物をサッとまとめるとすっくと立ち上がり歩いて消えた。歩けないフリをして乞食ビジネスをしていたのだ。

 エジプトのカイロでは、「バクシーシ、バクシーシ」と言いながら、どこまでも付いて来る物もらいが多かった。性格はやたらと明るく、憐れみを請うような「暗さ」は微塵も感じさせないのが特徴だ。イスラム圏では貧しき者には分け与えなければならない掟なので、基本的に乞食は見かけず、これまたビジネスなのかもしれない。米国のホームレスはエジプトほど明るくはないが、決して暗くもない。「モネー」と言われて「ノー」と無視すると、あきらめが良く、サッと離れていく。各国で微妙に違うところが面白い。(実)

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