「日刊まにら新聞」ウェブ

1992年にマニラで創刊した「日刊まにら新聞」のウェブサイトです。フィリピン発のニュースを毎日配信しています。

マニラ
31度-25度
両替レート
1万円=P4,040
$100=P5880

3月10日のまにら新聞から

憲法に触るなかれ

[ 737字|2014.3.10|社会 (society)|新聞論調 ]

改憲決議案

 アキノ大統領が改憲不要の立場を取り、国民の多くが反対しているにもかかわらず、デルモンテ下院議長提案の改憲決議案が圧倒的賛成多数で下院委員会を通過した。

 決議案によると、改正対象は外国人による土地所有禁止などを定めた経済関連条項だけ。海外からの直接投資を促すためというが、国内経済が「域内最高の経済成長率」を維持する現状で、経済的理由のために改憲する必要はないだろう。

 改憲に反対する理由は他にもある。外国人による土地所有を解禁すれば、フィリピンはどうなるか。恐らく欧州からの入植者に土地を収奪された北米大陸先住民のような道をたどることになるだろう。貧困層の国民にとって、土地はますます手の届かない存在となり、農地改革で土地を手にした零細農民らは外国人に土地を売り払って、都市部に流れ込むはずだ。

 海外投資を呼び込みたいならば、アジア域内最高と言われる電気代を下げる努力が必要だ。電気代や高税率で国際競争力がそがれてしまう国に、工場を建てる外国人投資家などいない。

 憲法条文に「別に法律で定められない限り」という語句を挿入し土地所有などを可能にする改正手法にも、問題がある。言うまでもなく立法は国会議員の仕事であり、改憲が実現した後は議員らの意向に沿った立法、法律改正が可能となる。つまり「禁止する」という憲法条文の意味が、法律により失われてしまうわけで、本末転倒と言わざるを得ない。

 今後、仮に改憲が発議された場合、改正案は国民投票に付される。最後は国民が改憲の是非を判断するわけだが、政治家は有権者を欺くすべにたけている。我々にとって一番安全な選択は、現役政治家らが死に絶えるまで憲法に手を触れないことだ。(5日・インクワイアラー、ニール・クルス氏)

社会 (society)