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3月3日のまにら新聞から

本当の「変革」を

[ 703字|2014.3.3|社会 (society)|新聞論調 ]

エドサ革命28周年

 28年前に世界の注目を集めたアキノ政変が持つ主なメッセージは今でも通用する。政治を大きく変革するためには、平和的な大衆の行動が最善の選択だということだ。

 「エドサ革命」はフィリピン社会を根底から変えるという点においては、成功からほど遠いものだった。失敗と評価する人もいる。姿を消した、マルコス元大統領の取り巻きもいる一方で、相変わらず政財界で活躍する一味もいる。強固な政治一族が消え去ることはないのだ。

 しかし、「エドサ革命」は不完全ながらも、選挙による民主主義をわが国に取り戻してくれた。1986年に革命に参加した多くのフィリピン人の行動は世界の大衆運動にも影響を与えた。「アラブの春」ではマルコス大統領のような独裁者が次々と打倒され、一部ではカムバックした。

 最近はツイッターやフェイスブックなど、ソーシャルメディアの影響力が強くなり、瞬時に大衆が政治の変化を求めることが可能になった。エストラダ大統領を辞任に追い込んだ政変・エドサ2では、携帯電話の文字メールが大衆を動員することに大きな役割を果たした。

 しかし、常識的に考えればフィリピンは「エドサ革命」のような大衆運動をもう起こせない。再度、政変が起きれば、政治制度がぜい弱だと証明されてしまうからだ。1回目の大衆運動で憎まれた指導者を打倒するのは良し。2回目は特別な事情に限り、正当化できる。3回目は政治の不安定さを示すことになる。

 アキノ大統領や政府関係者が「エドサ革命」に参加した、高貴で意識の高い国民が抱いた大いなる夢を裏切り続けていることに気づき、本当の「変革」を実行してくれることを願っている。(26日・タイムズ)

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