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6月22日のまにら新聞から

給付拡大し電子政府促進 過去最大5.8兆の来年予算案

[ 884字|2023.6.22|政治 (politics) ]

予算管理相が来年予算案を説明。電子政府化に重点を置き、世帯給付を拡大

フォーラムで予算案を説明するパガンダマン予算管理相(左)=21日、首都圏マニラ市マラテ(主催者フェイスブックより)

 国家予算の作成と執行を担うパガンダマン予算管理相は21日、首都圏マニラ市で開かれたフォーラムに出席し、来年予算法案の内容を説明した。予算規模は過去最大の5兆7680億ペソで、23年予算より9・5%増加。予算の優先分野については、教育、インフラストラクチャー、医療・保健に加え、電子政府化を挙げた。マルコス大統領は人の介入を少なくすることで汚職を減らす方法と電子政府を位置づけている。

 また、パガンダマン氏は、大統領から家計補助政策の追加を指示されたことを受け、来年予算では世帯向け給付が拡大されることを明らかにした。

 予算の増加率について同相は「22年比4・9%増だった今年予算と比べると大きく拡大した」としながら「年10~15%のペースで増加していたそれ以前に比べまだ遅い」と発言。その理由について「まだ経済がコロナ禍からの回復途上にあるからだろう」と政府収入面から説明した。その上で、来年予算の当初案では9・2%増だったが、清涼飲料水などに課される税率の引き上げ時期を25年から来年に繰り上げる方針となり、見込み税収が増えたため9・5%増に上方修正されたことを明らかにした。

 一方、農務相を兼任するマルコス大統領は20日の農務省設立125周年式典で、来年の農務省予算について「食料不足のため輸入を増やしている現状から脱却し、かつ食料価格の低廉化・安定化を促す必要がある」と強調。そのための方法として、来年予算では農業生産向上分野に重点的に予算配分することを明らかにした。

 また、1987年に始まった農地改革プログラムを通じ、地主から農地を30年払いで購入し自作農化したものの、土地代金や利子の支払いに困難を抱えている農家61万54戸の負債を棒引きする農地解放法案は、既に上下両院協議会で承認されており、大統領の署名を待つ段階。同事業を実施するための575億6000万ペソの費用も来年予算に含まれているとみられる。

 予算法案は22日の閣議で決定した後、来月24日に予定されている施政方針演説(SONA)の翌週に議会に提出される予定。(竹下友章)

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