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2月3日のまにら新聞から

米軍利用施設を追加 「マルコス大統領が承認」

[ 945字|2023.2.3|政治 (politics) ]

米軍が利用可能な施設を4カ所追加することをマルコス大統領が承認

会談後に共同記者会見を行うオースティン米国防長官とガルベス国防相=2日午後、ロビーナ・アシド撮影

 フィリピンを訪問中のオースティン米国防長官が2日、首都圏ケソン市の国軍本部(アギナルド基地)でガルベス国防相と会談を行った。会談後の記者会見で同国防長官は「(米軍が利用できる国軍施設を)新たに4カ所追加することでマルコス大統領が承認した。これで9カ所の施設を米軍が利用できるようになる」と歓迎の意を示した。

 米国政府は2014年に締結された比米防衛協力強化協定(EDCA)に基づき、米軍が利用できる比国内施設を現在の5カ所からさらに増強するよう求めていた。

 しかし、ガルベス国防相は同じ記者会見で、「地元の自治体と調整する必要がある」として、追加される4カ所の国軍施設の場所については明らかにしなかった。国防相は「大統領は4カ所の自治体とすべての協議を行い、合意された施設への視察も行う予定だ」と説明しており、地元との調整が今後の課題になるとの見方を示した。

 バカロ国軍前参謀総長は昨年11月、EDCAに基づいて当初提案されていた5カ所の追加施設候補について、2カ所がカガヤン州に、残り3カ所はパラワン州とサンバレス州、イサベラ州にあると示唆していた。関係筋によると、このうち1カ所の施設については「政治的な問題」から大統領による承認が得られなかったとしている。

 比政府は同協定に基づき、セサール・バサ空軍基地(パンパンガ州)やアントニオ・バウティスタ空軍基地(パラワン州)、フォートマグサイサイ基地(ヌエバエシハ州)など空軍基地を中心に5カ所の国軍基地を米軍が共同利用することを認めてきた。これらの基地に米軍が常時駐留することで比米合同軍事演習や災害対応の共同訓練などが効率的に実施されてきた。

 今回、比米国防当局による共同声明も出され、「EDCAに基づく利用可能施設が増えることで、フィリピンにおいてより迅速な人道支援が行え、気候変動関連災害にも対応できるほか、お互いの共通する課題にも迅速に対応できる」と強調している。

 しかし、南シナ海における中国進出を巡り周辺諸国や米国との摩擦が強まる中、比の国軍施設における米軍の共同利用がさらに拡大することで、比のより広い地域で米軍の迅速な展開が可能となり、比における米軍のプレゼンスがさらに強まりそうだ。(澤田公伸)

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