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11月23日のまにら新聞から

「比と共に立ち上がる」 パラワン島訪問で米副大統領

[ 978字|2022.11.23|政治 (politics) ]

ハリス米副大統領が比巡視船を視察。中国を念頭に「比と共に立ち上がる」

巡視船の操舵室で説明を受けるハリス米副大統領=22日、パラワン島、比沿岸警備隊提供

 ハリス米副大統領は22日、比が中国と領海を巡り対立を抱える南シナ海南沙諸島に面するパラワン島を訪問し、比沿岸警備隊(PCG)保有艦の中で最大級の巡視船BRPテレサマグバヌア=全長96・6メートル、日本供与=に乗船した。ハリス氏は同島を訪れた米政府関係者の中で最高位。

 ハリス氏はPCG職員らに対し行ったスピーチで「われわれは、中国が南シナ海のほぼ全域を領有するという主張(九段線)を全会一致で否定した2016年の国際仲裁裁判所判断を支持する」と宣言。「米国および国際社会はこの海域で毎日流通する何十億ドルもの物流に依存している。米国は比の同盟国として南シナ海における示威や威嚇に対し、航行の自由や主権と領土の尊重といった原則を守るためフィリピンと共に立ち上がる」と述べ、南シナ海で海洋進出を行う中国と対峙(たいじ)する姿勢を鮮明にした。

 また比漁業について「『外国船』が比の海域に侵入し、違法に漁業資源を枯渇させ、地元の漁師を威嚇し、海を汚染し、生態系を破壊してきた」と指摘。比漁民を比の海上法執行能力の強化を通じて保護するために、米政府が資金を拠出する計画があることを明らかにした。ただ、今回の演説では予算規模に触れなかった。

 比米の海上保安パートナーシップについて「海難事故、不法行為の早期発見のために米衛星情報を比とほぼリアルタイムで共有できていることを誇りに思う」と説明。その上で「12月には新たな衛星を打ち上げ、事業を拡大させる」と発表した。

 22日の英字紙スター電子版によると、フィリピン大法学部のジェイ・バトンバカル准教授=海洋法専門=は、今回の米副大統領訪問が「米国の比海洋権益に対する強い関与と、防衛協力強化協定(EDCA)実行の必要性を明確にした」と分析。「グアムや日本からでは米軍は(南シナ海に関する)義務を十分はたすことはできない」とし、EDCAに基づく比国内施設の米軍利用の必要性を指摘した。

 マルコス大統領は米副大統領のパラワン島訪問について「中国を刺激することはない」と述べていたが、中国共産党の環球時報は22日、ハリス氏の比訪問を「南シナ海問題の炎を煽る」として批判。「比はどんな外国人観光客でも受け入れる権利があるが、どんな2国間交流も地域の平和と安定を犠牲にしてはいけない」と主張した。(竹下友章)

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