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6月11日のまにら新聞から

パッキャオ氏「サラ氏以外にも機会を」 ドゥテルテ氏「もっと外交の勉強を」

[ 1010字|2021.6.11|政治 (politics) ]

次期大統領選をめぐってパッキャオ上院議員とドゥテルテ大統領が微妙なさや当て

 マニー・パッキャオ上院議員はこのほど、ABS─CBNのインタビューの中で、次期大統領候補としてドゥテルテ大統領の娘でダバオ市長のサラ氏を推す声が最大与党のPDPラバンを中心に多いことについて「他の者にもチャンスを与えるべきだ」と語った。パッキャオ氏は正式な立候補宣言はしていないが、次期大統領への意欲を見せている。これに対し、PDPラバン名誉総裁のドゥテルテ大統領は「パッキャオ氏はもっと外交の勉強を」と述べるなど、次期大統領選をめぐって両者の間で微妙なさや当てが始まっている。

 パッキャオ氏は、PDPラバンが5月の党員総会でドゥテルテ大統領を次期副大統領候補とする決議を採択したことについても「大統領にとって良くないことだ」とし、決議に反対する考えも明らかにした。

 PDPラバン総裁代理のパッキャオ氏は5月の党員総会開催に反対し、出席しないよう党員に呼び掛けたが、名誉総裁のドゥテルテ大統領は開催を支持。総会は予定通り5月31日にセブ市で開かれた。

 パッキャオ氏はこれらの問題をめぐり大統領と1対1の会談を申し入れているが、大統領からの返事はまだないという。パッキャオ氏は「党総裁代理と名誉総裁(大統領)が会って話し合うことは党則からしても当然のこと。党の今後や選挙について大統領に直接、進言したい」と述べた。

 一方、ドゥテルテ大統領は9日の声明で、パッキャオ氏が南シナ海の領有権問題をめぐって「中国の侵略的行為に対して現政権はもっと物を言うべきだ」と批判的な発言をしたことに対し「外交に関する知識が彼には不足している。もっと外交を勉強した方がいい」と戒めた。これに対してパッキャオ氏は「私は多くのフィリピン人が思っていることを言ったまでだ」と反論した。

 パッキャオ氏の側近は10日、まにら新聞に「パッキャオ氏こそ次のフィリピン大統領だ」と明言、大統領選への立候補は「本人がとっくに決めている」と明かした。ボクシングのWBA世界ウェルター級休養王者でもあるパッキャオ氏は8月に米ラスベガスで約2年ぶりの復帰戦を戦う。最後の試合になるとの報道もあり、側近は「これも選挙キャンペーンの一つになる」と明かした。

 パッキャオ氏をめぐっては、PDPラバンから離党して新党を結成するとの観測もあるが、今のところパッキャオ氏自身も側近も「PDPラバンを出ることは考えていない」と否定している。(石山永一郎)

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