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VFA維持なら「見返りを」 ドゥテルテ大統領 米に要求

ドゥテルテ大統領「訪問米軍地位協定を米国が継続したいならば、見返りが必要」

[ 1570字|2021.2.15|政治 ]
2019年4月1日から12日までタルラック州カパスで行われた比米合同演習に参加した米兵(EPA=時事)

 ドゥテルテ大統領は、フィリピンを訪問する米軍の法的地位を定めた訪問米軍地位協定(VFA)について「米国が継続したいならば、見返りが必要だ」と発言。米中戦争が起きた場合、最初に被害を受けるのが比であることを理由に挙げた。VFAなどをめぐるバイデン新政権との交渉を比側有利に進めたい狙いもあるとみられる。

 大統領は昨年2月にVFA破棄を決定し、米政府に通告したが、その後2回にわたって破棄の凍結を発表。凍結の効力が今年半ばで切れる中、ロクシン外相は米側とのVFA協議が今月中に行われるとの見通しを明らかにしていた。

 ドゥテルテ大統領は12日、パンパンガ州で空軍部隊を前に演説。「もし米国の工作員がここにいるなら、警告したい。今後も米国がVFAを継続したいのであれば、見返りが必要だ」と述べた。

 比にスービック、クラークの両米軍基地があった1991年まで、比は日本の「思いやり予算」とは逆に、米軍が基地を置く見返りとして米側から経済援助を受けていた事実もある。

 大統領は、対中防衛について「比米に共有されている責任だが、米側が担うべき責任はただではない。なぜなら、米中戦争が勃発したときには、結局、我々全員が犠牲を払うことになるからだ。比、特にパラワン州は、中国軍の武器庫がたくさんある駐屯地(南沙諸島の人工島)に近く、戦争の舞台になる可能性が最も高い」と説明した。

 大統領は昨年暮れにも「(新型コロナウイルス)のワクチン提供なしなら、(米軍の)滞在もなしだ。最低2千万回分のワクチンを届けなければ、出て行ってもらった方が良い」と米国を挑発する発言をしている。

 12日の演説では、米中との関係について「自分は米国と中国の両方の友人だ」とも述べた。中国海警局が管轄海域内で外国船などに「武器の使用を含むあらゆる必要な措置」を取ることを認めた「海警法」の成立について厳しい批判をしなかった理由については「中国に対して『口先だけの勇ましい態度』をとる余裕はない。少なくとも今は、我々はどんな対立も避けている。実際のところ、私は綱渡りをしている」と明かした。

 ▽子どものような扱い

 米国について「緊急事態には米国の存在が必要だ」としながらも「米国はいろいろと約束し続けてきたが、いまだにほとんど約束を果たしていない」とも指摘。「私が気に入らないのは、子どものように扱われていることだ。米国は約束しても、すっかり忘れてしまう。思い出させ続けて、約束を果たさせない限り、米国には誰も付いて行かない。我々は誘導ロケット提供を米国に求めてきたし、金を本当に払うつもりだが、要求はまだ宙に浮いたままだ」などと述べた。

 大統領は、友人と思っていたトランプ前大統領に「比に何が必要か」と尋ねられ、「誘導ロケットだ」と伝えたという。

 大統領は、米国への移民問題を例に「共和党と民主党では違う」とした上で、「バイデン政権には何も期待していない」「米国は本当に戦争が好きなタカ派だ」とももらした。安全保障策では両党に大差はないとみているようだ。

 ブリンケン米国務長官は1月27日、ロクシン外相と電話会談し、中国による南シナ海での領有権の主張を「違法だ」とし、中国の海洋進出に厳しい姿勢で臨む方針を鮮明にした。ブリンケン氏はロクシン氏に「中国の圧力に直面する東南アジア諸国を支持する」と約束。米国の比防衛義務を定めた比米相互防衛条約(MDT)は、南シナ海などでの比軍や一般船舶、航空機への攻撃に適用されると保証した。

 ロクシン外相は今月8日、VFAをめぐる米新政権との協議について「お互いにとってより恩恵があり、効果的で合意可能な相互防衛へと前進する恒久的枠組みを両国が見つけることができるだろう」と述べていた。(谷啓之)

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