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5月16日のまにら新聞から

ハロハロ

[ 654字|2016.5.16|政治 (politics)|ハロハロ ]

 フィリピンの新しい大統領に過激な発言で何かと話題が絶えないドゥテルテ・ダバオ市長が選ばれた。これからの6年、同氏がどういうかじ取りをしていくか、羅針盤がどの方位を指して航海するのか興味深いところだ。

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 ヨーロッパ人で初めて南アフリカの喜望峰を発見したのはポルトガルの探検家バーソロミュー・ディアス。大西洋を南下した船が喜望峰を回ると羅針盤は一転して北の方角を指す。アフリカ大陸の最南端に達したと思われるが、実はそうではない。航海しているうちに船は再び南下、喜望峰より南緯度が高いアガラス岬(針の岬)に達する。アフリカ大陸の最南端は喜望峰ではなく、実はこの岬である。南アフリカに住んでいた時、はるかかなたに南氷洋を臨むアガラス岬を訪れて、このことを知った。ちなみに喜望峰とアガラス岬に囲まれた海域はフォールスベイ(偽りの湾)と名付けられた。大西洋ではなくインド洋と間違えられたからだという。

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 比に近いミクロネシアなど南太平洋の海洋民が太陽や星、星座を目安に伝統的な航海術を持っていたことはよく知られている。その後、羅針盤の発明と改良は大航海時代の到来をもたらした。16世紀初めスペイン船団を率いてマゼランがビサヤ諸島に到達できたのも羅針盤のおかげだ。多くの課題を抱える中で、比が正しい方位を取れるかどうかは新大統領のかじ取り次第。民主主義や法治が守られるなら、羅針盤がなくても星座を頼りにする原始的な航海でもよい。フォールスベイに迷い込まないようにしてほしい。(立)

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