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1月27日のまにら新聞から

22年GDP伸び率7.6%に 政府目標を上回る高水準

[ 945字|2023.1.27|経済 (economy) ]

昨年第4四半期の実質GDP伸び率が7.2%。通年で7.6%に上昇

マルコス政権誕生後に初めて開催された閣僚級開発予算調整委員会の会合後に行われた記者会見。この会合で新政権は22年の経済成長率目標を7~8%から6・5~7・5%に引き下げていた=22年7月8日、国家経済開発庁ホームページより

 フィリピン統計庁は26日、2022年第4四半期(10~12月)の実質GDP(国内総生産)伸び率が前年同期比7・2%まで拡大したため、通年のGDP伸び率が7・6%になったとの速報値を発表した。昨年上半期ごろから新型コロナ感染拡大による行動制限が大幅に緩和され、経済活動の再開が顕著となり、政府目標の6・5~7・5%を上回る高水準となった。

 ジョクノ財務相が昨年12月末、2022年の比経済の概要と23年の展望を発表した際に、コロナ禍に続くウクライナ戦争の影響で世界的な景気後退が予想される中でも、「比は最悪の時期を脱した」と宣言、「製造業や建設業を中心に全産業で成長が期待され、内需も強い。今年の成長率は政府目標をおそらく上回るだろう」と予測していたが、現実となった格好だ。

 統計庁によれば、3大分類別に昨年通年の成長率をみると、第1次産業(農水産業)は0・5%と伸び悩んだものの、第2次産業(製造業、建設業など)が6・7%、第3次産業(サービス業)が9・2%と高い成長だった。第4四半期に限ると、第1産業はマイナス0・3%と落ち込んだが、第2次産業4・8%、第3次産業9・8%と堅調な伸び率を示した。

 また、昨年通年の高いGDP伸び率達成に貢献した業種としては、「建設業」(12・7%)、「卸売・小売業および自動車・オートバイ修理業」(8・7%)、「製造業」(5・0%)が挙げられる。第4四半期に限っても、「卸売・小売業および自動車・オートバイ修理業」(8・7%)および「金融・保険業」(9・8%)の業種での高い伸び率が成長率に貢献したとみられる。

 支出面からみると、公共・民間を含む「総固定資本形成」が16・8%、「家計支出」が8・3%、「政府最終消費」も5・0%とそれぞれ伸びている。インフレが高進し、政策金利が引き上げられる中にもかかわらず活発な家計消費と設備投資がなされた。

 21年通年の実質GDP伸び率は5・7%だった。比のGDP伸び率はコロナ禍が始まった20年第2四半期にマイナス16・9%まで落ち込んだが、21年第2四半期には12・1%まで回復。21年第3四半期から22年末まで6四半期連続で7・0%以上の高い伸び率を維持していることになる。(澤田公伸)

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