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1月15日のまにら新聞から

果実が比の未来を救う 大統領訪中での成果を生かせ

[ 821字|2023.1.15|経済 (economy)|新聞論調 ]

 マルコス大統領訪中の成果として、中国企業がドリアンやココナツ、バナナやスイカなど果物20億9000万ドル相当を比から輸入すると約束したことが挙げられる。大統領と中国の農業関連企業間で行われた会合のなかで、少なくとも中国企業4社が比の果物、特にドリアンの輸入を拡大する意向を表明している。大統領広報室は「比から中国への生鮮ドリアンの輸出に関する植物検疫要件手順は、比中間で取り交わされた14協定に含まれる分野」と明かした。

 政府は比中間で広がる貿易赤字を縮小できると、前向きな展開と捉えている。比は他国と同様、世界一の生産工場となった中国から多くの製品を輸入する一方、輸出は少なすぎる状態だ。中国は今や比の最大貿易相手国であり、経済協力や人的交流に関する政策が滞りなく続けば、比は巨大な隣国との優遇的な扱いを受ける特恵貿易から大きな利益を獲得できる立場にある。

 統計庁によると、対中貿易赤字は2021年現在で152億5000万ドルに上る。比産果物の増産と中国での大規模な流通によって、この貿易赤字を減らし、農業分野の発展と特に地方の雇用創出に大きく寄与するだろう。

 大統領は「貿易収支のバランス」を取りながら、果物、特にドリアンの輸入に関する規則を確定しているという。「中国との貿易不均衡を是正するため、ドリアンをはじめとする比農産物の輸入を開始するためのドリアン・プロトコルと呼ばれる規定を作成した」と述べた。ドリアンの収穫量はダバオ地域が比全体の78%を占める。今後、ミンドロ島やカラバルソン、ビコール各地域でもドリアン農園を拡大する可能性があり、中国の投資家がドリアンに注目していることは朗報だ。

 一方、同じ地形や気候をもつマレーシアやタイ、インドネシアは中国の果物市場を独占しており、比は競合国との対決に直面する。政府は激化する競争を勝ち抜くためにも、果樹園農家に助成金などの支援を促進すべきだ。(11日・マラヤ)

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