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11月7日のまにら新聞から

気候対策資金流入がアジア5位 オックスファムの気候ファイナンス報告

[ 1227字|2022.11.7|経済 (economy) ]

英の世界的NGOオックスファムがアジア地域の気候変動対策向け資金流入に関する報告書を発表、2013〜20年で比に流入した気候ファイナンスがアジアで5番目に多かった

 台風22号(比名パエン)による甚大な被害を経験したばかりの2日、英国の主要NGO、オックスファムのフィリピン事務所が声明を発表し、各地で自然災害を引き起こしている気候変動問題に対処するアジア各国に対する海外からの気候ファイナンス(気候変動対策向け資金の無償供与や融資)に関する報告書の内容を明らかにした。それによると、比への気候対策向け資金流入額は2013〜20年の8年間で78億ドルとアジア地域の調査対象18カ国中では5番目に高い水準だった。

 同報告書によると、フィリピンに対する気候ファイナンスによる資金流入はそのほとんどが融資。比は年間平均で9億7200万ドルの気候ファイナンスを獲得していたが、その中でも市場金利を採用した通常融資が3億6400万ドルだったのに対し、市場金利よりも安い金利を採用した譲許的融資が5億2800万ドルの規模となっている。無償資金供与は1億ドル未満だった。

 2013〜20年におけるアジアで最大の気候ファイナンス流入国はインドで、その総額は371億ドル。次いで中国が121億ドル、インドネシアが100億ドルと続いている。しかし、国民一人当たりの気候ファイナンスが最大だったのはモルジブで一人当たり59ドルの資金が流入していた。また、気候ファイナンスでも無償資金供与としての資金流入が最も少ないのは中国だったのに対し、バングラデシュは全ての気候ファイナンスが無償資金供与だった。

 同報告書はアジア地域には世界の人口の約半分の40億人が住んでいるにもかかわらず、アジア諸国に対する気候ファイナンスの流入額は世界全体の25%に過ぎないと指摘。また、バングラデシュやカンボジア、ミャンマーやアフガニスタンといった国々が世界でも最も気候変動に対して脆弱で対応力も弱いにもかかわらず、このような国の気候変動がもたらす災害への対処を直接支援するための気候ファイナンスは全体の3分の1にしか過ぎない。さらに、二国間の気象ファイナンスのうち17%、多国籍金融機関による気象ファイナンスの6%のみが無償資金供与で、残りの大半の資金が融資のため、多くの国が返済に追われ、公共サービスへの十分な予算配分が出来ない状況に置かれていると分析した。

 同報告書では2013〜20年に実施された二国間ベースの気候ファイナンスの供与国でトップだったのは日本(282億ドル)で、2位がドイツ(112億ドル)、3位がフランス(60億ドル)、4位が米国(11億ドル)だった。日本が供与した気候ファイナンスのうち70%は無償資金供与だったのに対し、ドイツとフランスの無償資金協力の割合はそれぞれ41%と44%にとどまっている。

 一方、多国籍金融機関の世界銀行とアジア開発銀行は同期間にそれぞれ気候ファイナンスを300億ドル、176億ドルまで供給すると約束したが、そのうち無償資金供与の割合はぞれぞれ25%、11%にとどまっている。(澤田公伸)

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