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9月28日のまにら新聞から

「経済見通しにリスク」 ADB浅川総裁 ロシアの侵攻に言及

[ 1175字|2022.9.28|経済 (economy) ]

総会でADB浅川総裁「ロシアのウクライナ侵攻はアジア太平洋地域の経済見通しのリスク」

 アジア開発銀行(ADB)の浅川雅嗣総裁は26日、英国のジャーナリスト、ゼイナブ・バダウィ氏の番組インタビューで、ロシアのウクライナ侵攻がアジア太平洋地域の経済見通しの大きなリスクであることに言及した。

 浅川総裁は、同地域の経済見通しを危うくしているリスク要因として①厳格なゼロコロナ政策による中国経済の失速②新型コロナの新たな変異種出現の可能性③ロシアのウクライナ侵攻による経済への悪影響④いくつかの先進国による積極的で迅速な金融政策の正常化がもたらした金融市場の不安定化――の四つを挙げた。

 ロシアによるウクライナ侵攻について同総裁は「ロシア貿易による資本取引やロシアからの送金といった直接的取引は中央アジアやコーカサス、モンゴルを除き、アジア途上国全域では比較的限定的なものだった」事実を指摘した。一方で「食糧やエネルギーを輸入する業者や輸入国の今年の輸入手形には、経済のインフレ圧力が加わり、昨年のそれを大幅に上回るだろう」と予測した。「アジア太平洋地域のいくつかの中央銀行はすでに政策金利の引き上げでインフレ圧力の沈静化に取り組んでいるが、それが地域の経済成長予測を難しくする要因でもある」とも語った。

 急激な食糧価格の上昇と相まって「ロシアによる肥料供給の減少が起きれば、地域の農業生産に顕著な影響を及ぼし、食糧の安全保障における深刻な懸念となる」とも話した。

 その他の懸念材料として浅川総裁は、新型コロナ、アフガニスタンやミャンマーなどに見られる政治的不安定、気候変動による悪天候が引き起こした干ばつなどを挙げ、通常のプロジェクト資金調達、政策ベースの融資、予算のための資金調達、民間セクターへの資金調達などで対応していく姿勢を示した。

 ▽変異種の影響は限定的

 浅川総裁によると、アジア太平洋地域は2020年のコロナ禍で、約60年ぶりの景気後退に見舞われ、成長率はマイナス0・8%まで落ち込んだ。翌21年には同6・9%へと回復し、22年には4・3%になると、ADBは予測している。

 21年の回復要因としては、新型コロナ変異種のオミクロン株が、それ以前の変異種と比べて短命で、甚大な影響は及ぼさなかったとの見方を示した。また、地域でのワクチン接種の進展状況や地域の輸出が好調だった点も指摘した。

 ADBはコロナ禍初期の2020年3月18日に65億ドルという支援を発表していたが、4月13日に200億ドルに拡大した。そのうち約25億ドルは譲許的資金および無償資金だとしていた。さらに、同年12月にはワクチンの迅速な調達のための90億ドルの融資枠も設けており、ADBの地域へのコロナ支援は計330億ドルに上る。そのうち100億ドルは新型コロナ対策のための緊急財政支援融資(CPRO)だとしている。(岡田薫)

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