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7月5日のまにら新聞から

来年には56ペソ台半ばか HSBCの為替レート予測

[ 881字|2022.7.5|経済 (economy) ]

23年下半期には1ドル56・50ペソまでペソ安が進行するとHSBCエコノミストが予測

 香港上海銀行(HSBC)のジャネット・ヘンリー筆頭グローバルエコノミストはこのほど、17年ぶりのペソ安となっているペソの対米ドル為替レートの今後の推移について、米連邦準備制度理事会による政策金利引き上げがさらに予想されることから、ドル高傾向が来年にかけて続き、2022年第4四半期(10~12月)には56ペソ台に突入するとの見通しを示した。また、23年には56・50ペソと56ペソ台の半ばまでペソ安が進行するという。4日の英字紙インクワイアラーが報じた。

 同エコノミストによると、ペソの対ドルレートは今年第3四半期には平均1ドル=55・50ペソに、第4四半期に平均56ペソになり、23年上半期には平均56・20ペソ、23年下半期には平均56・50ペソまでペソ安が進行するという。

 オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)の経済調査部門、ANZリサーチもこのほど、比中央銀行が今年に入って政策金利の引き上げをすぐに実施しなかったことから、昨年末から今年7月1日にかけて対ドル為替レートでペソ安が8%以上も進行しており、東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国の中で最悪の下落率を記録したと報告した。

 また、インフレ抑制に向けた米連邦準備制度理事会による利上げや比国内需要の高まりによる輸入拡大などにより「今年下半期にペソはさらに逆風を受けるだろう」としてペソ安の進行が続くとの予測を示した。

 同リサーチは、5月にインフレ率が4年ぶりとなる5・4%まで高騰したが、今後数カ月間もさらに5%台のインフレ率が続くと予想。比中央銀行の金融政策決定会合も今年中にさらに政策金利を1ポイント引き上げ3・5%にするとの見通しを示した。23年3月までにはさらに4%まで政策金利を引き上げるとしている。

 一方、比中央銀行が実施した22年第2四半期の企業経済観測調査では、多くの企業が今後12カ月にわたりペソ安がさらに進行するとの見通しを示しているのに対し、第3四半期における平均インフレ率は4・1%にとどまるとの観測を立てていることが分かった。(澤田公伸)

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