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5月12日のまにら新聞から

第1四半期はマイナス4.2% 比GDPが5期連続縮小

[ 1051字|2021.5.12|経済 (economy) ]

比統計庁によると、今年1〜3月のGDPは前年同期比で4・2%縮小。5四半期連続でマイナスに

 アジア開発銀行(ADB)で5月上旬に年次総会が開かれた際に非政府組織(NGO)のメンバーらが同行前で抗議集会を開き、パンデミックで経済不況にあえぐ発展途上国に対する債権放棄などを訴えた=5日、首都圏マンダルーヨン市にあるADB本部前で撮影(EPA=時事)

 比統計庁の11日発表によると、今年第1四半期(1〜3月)の実質国内総生産(GDP、速報値)は前年同期比で4・2%縮小した。新型コロナ防疫措置の強化に伴い、比経済の成長率は5四半期連続でマイナスとなった。前期の20年第4四半期はマイナス8・3%だった。

 産業別(前年同期比)では工業が4・7%、サービスが4・4%、農林水産が1・2%と軒並みマイナスに。業種別(同)では、健康・社会事業が11・7%、国防など行政が7・5%、情報通信が6・3%、金融・保険が5・2%、製造業が0・5%それぞれ伸びた一方で、建設が24・2%、不動産が13・2%と大幅に落ち込んだことが響いた。

 需要側の落ち込みは家計最終支出の4・8%のほか、輸出が9%、輸入が8・3%、総資本形成が18・3%だった。一方で、政府の最終消費支出は16・1%増えた。

 第1四半期の国民総所得(GNI)は前年同期比マイナス10・9%。海外からの純一次所得(NPI)も75・8%落ち込んだ。

 ロケ大統領報道官は11日、「GDP成長率が依然としてマイナスであるのは悲しいことだ」と述べる一方で、「経済チームは、第2四半期(4〜6月)には前年同期に追いつくと確信している」との見通しを示した。

 ロケ報道官は、GDP落ち込みの主因とされる建設について「入国規制のために外国人コンサルタントの多くが入国できなかったため。現在は規制が解除されたが、外国人コンサルタント97人の半数は来比を望んでいない」と説明した。

 また、民間調査会社IHSマークイットによると、比製造業購買担当者景気指数(PMI)は今年3月が49・0と、前月の52・5から低下。前年12月の49・2以来4カ月ぶりに50を割った。

 ▽今年の目標は修正へ

 2021年の経済成長率について、比政府は目標を6・5〜7・5%としているが、近く下方修正するとみられている。

 英字紙ビジネスワールド(10日電子版)によると、政府の経済担当者は5月中に会合を開き、最近の防疫強化措置による影響を評価する予定。アジア経営研究所のエコノミストは21年の成長率について、「集団免疫獲得に向けたワクチン接種が中断されないこと」を前提に、5%程度と推計している。

 20年の経済成長率は、タール火山噴火の影響もあった第1四半期のマイナス0・7%に続いて、第2四半期が16・9%、第3四半期が11・5%と2桁の落ち込みが続き、通年ではマイナス9・6%を記録した。(谷啓之)

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