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4月10日のまにら新聞から

豚肉の価格統制終わる 関税引き下げ令に悲鳴も

[ 1193字|2021.4.10|経済 (economy) ]

豚肉・鶏肉の価格上限設定が終了、関税引き下げの大統領令に養豚業者らは悲鳴

 首都圏で高騰する豚肉価格を統制するため政府が2月に導入した小売価格の上限設定が終了した。農務省は価格統制を延長せず、豚肉輸入をさらに拡大させ、9日からは豚肉に推奨小売価格(SRP)を課すなど、より柔軟な対策に移行することを決めた。

 一方、豚肉輸入拡大のため、関税を大幅に引き下げる大統領令が8日署名され、国内の養豚業者組合などから「養豚業がつぶされる」と悲鳴が出ている。

 アフリカ豚熱の感染拡大に伴う豚肉生産量の落ち込みによる価格高騰に対処するため、政府は8日までの60日間にわたる価格の上限設定とともに、地方からの豚搬入や輸入を増やすなどして価格の安定化を目指した。しかし、この2カ月間で実際の小売価格は上限を超え、小売業者の休業なども常態化していた。

 8日付英字紙ビジネスミラーによると、ダール農務相は7日、業界関係者らとの協議を経て、豚肉と鶏肉に関する小売価格の上限設定を延長せず、豚肉に対する推奨小売価格を設定する方式に移行すると発表した。

 9日以降の推奨小売価格は豚肩ロース肉で1キロ270ペソ、豚ばら肉で同350ペソに設定された。一方、鶏肉については市場の平均小売価格がキロ当たり130ペソまで下落していることから推奨小売価格の対象から除外された。

 農務省はまた、普段は輸入豚肉を扱わない公設市場の小売業者に対し、冷凍の輸入豚肉を扱えるよう小型冷凍庫を支給する支援を地方自治体と連携して始める。同省は1台1万8千ペソの冷凍庫を2500台確保し、首都圏の公設市場の豚肉販売業者らに支給する計画だ。

 比政府は豚肉の輸入も拡大させている。農務相によると、今年1〜3月期に輸入した豚肉は3万8千トンで、うち1万8200トンが低関税による最低限輸入枠(ミニマム・アクセス・ボリューム)で輸入されたものだった。大統領は議会に対し、豚肉に関する最低限輸入枠を現行の年5万4210トンからさらに35万トン分を追加するよう要請していたが、さらに8日、最低限輸入枠の対象となる豚肉製品に課せられる最恵国待遇関税率を現行の30%から5%まで3カ月間に限り引き下げることを定めた大統領令第128号に署名した。

 この大統領令では最低限輸入枠以外の輸入豚肉に対する関税率も従来の40%から15〜20%に引き下げる措置が含まれる。

 9日付スター紙によると、この大統領令に対し、国内の輸入業者組合などは「歓迎する」と声明を出したが、養豚業者組合などからは「国内の小規模養豚業者らがつぶされる」「(大統領令を勧告した)農務省の戦略が全く理解できない」と強い批判が巻き起こっている。

 パギリナン上院議員は「輸入は国内の豚肉不足への解決になるかもしれないが、国内養豚業者が抱える問題に対処するには非常事態宣言で必要な資金を確保して対策を取るべきだ」と訴えている。(澤田公伸)

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