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12月20日のまにら新聞から

教育の質の低下が止まらない 学習到達度調査で比が低迷

[ 820字|2019.12.20|社会|新聞論調 ]

 経済協力開発機構(OECD)による15歳生徒の学習到達度調査(PISA)の結果が発表され、フィリピンが英語と数学、科学の分野で下から2番目だと判明した。比の学生たちが今後、世界で活躍し、生産的な生活を送り、十分な市民権を行使できるようになるのか、その希望を持つことも難しいのだ。

 このニュースと前後してインド出身のサンダー・ピチャイが米巨大IT企業のグーグルの親会社であるアルファベット社の最高経営責任者に任命されたというニュースが入ってきた。ピチャイ氏はインドでもミンダナオ地方のような貧困地域が多いタミル・ナドゥ州の出身だ。比の学生たちが希望を持てない一方で、なぜ彼がグローバル・リーダーになれたのだろうか。

 それは教育だ。インドは初代首相のネルー時代から若者への教育に熱心に取り組んできた。テクノロジーから金融までの専門領域の教育を徹底し、シリコンバレーやウォールストリートに卓越した人材を送り出している。ピチャイが学んだインド工科大学だけでも半導体大手のサン・マイクロシステムズの共同創設者であるヴィノー・コスラやソフトバンクのニケシュ・アローラ元副社長などを輩出している。

 インドは混沌としていて政治的に不安定な点は比と似ている。しかし、世界的な先駆者を生み出しているのは比と対照的だ。

 比で今回の学習到達度調査の結果に気を留めた官僚や政治家がいただろうか。憲法では教育を優先的プログラムと位置付けている。しかし教育に十分な予算が投じられていない。ドロップアウトも多く、栄養不良の子どもが8割を占めるとの報告もある。

 2020年度予算でも教育省は6万4千以上の教室と4万3千人の先生の新規雇用を概算要求に入れたが、多くが認められていない。高等教育予算も前年比で22%減少した。予算で優遇されているのは疑わしいインフラ事業なのだ。教育の質の低下は避けられない。(15日・マニラタイムズ、マーレン・ロンキーリョ)

社会

20年比成長はマイナス9・6% IMF最新予測 V字回復は地域で最後か

[ 921字|2021.1.28 ] 無料記事

【IMFは20年の比の経済成長率予想をマイナス9・6%に下方修正。21年内のV字回復は困難】 国際通貨基金(IMF)は26日、2020年のフィリピンの実質国内総生産(GDP)の成長率予測をマイナス9・6%に下方修正した。昨年10月にはマイナス8・3%と発表していたが、第3四半期のデータが当初予想よりも悪化したため。英字紙ビジネスミラーなど比各紙が報じた。  IMFは21年の成長率についても、これまでの7・4%から6・6%に下方修正し、比については21年内のV字回復は困難との見通しを強めている。22年の成長率は6・5%と予想している。  世界経済見通し(改定版)発表に合わせて、IMFのヤン駐フィリピン代表が記者団に発表。「20年の比経済の下方修正は、主に第3四半期の縮小が予想を上回ったことを反映している。21年と22年の反発は、主にインフラ投資の再推進に加え、緩和的な金融政策と世界的な回復に支えられた民間部門の緩やかな回復に牽引されるとみている」とヤン氏は述べた。  比の20年成長率予測については、比政府がマイナス8・5〜マイナス9・5%、アジア開発銀行(ADB)がマイナス8・5%(ともに昨年12月時点)で、世界銀行の最新の経済見通し(1月5日発表)ではマイナス8・1%(21年は5・9%)。IMFの予測はさらに厳しい数字となった。  比統計庁は28日には20年のGDP成長率を発表するとみられている。  格付け大手系のムーディーズ・アナリティクスは今月初め、比がワクチン調達計画に苦労していることや財政刺激策がまだ比較的小規模であることを指摘した上で「比は、コロナ禍以前のレベルに経済が回復するアジア太平洋地域で最後の国になるだろう」と予想している。  IMFの世界経済見通しでは、21年の世界成長率を5・5%と予測。新型コロナウイルスのワクチン普及、日本と米国の経済対策による景気浮揚効果を想定。20年10月時点の見通しから0・3ポイント上方修正し、07年(5・5%)以来、14年ぶりの高い伸びを予想している。  21年下半期に回復が強まるとし、22年の成長率は4・2%を見込んでいる。一方で、コロナ禍による世界全体の経済損失は25年までに累計22兆ドル(約2300兆円)に達するとみている。(谷啓之)