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12月29日のまにら新聞から

発展は災難を越えて ミンダナオ地方

[ 644字|2017.12.29|社会 (society)|新聞論調 ]

 クリスマスだというのに、台風ビンタの影響でミンダナオ地方カガヤンデオロ市やダバオ市などで数千人の住民が洪水被害を受けた。また、ダバオ市ではモール火災も発生し、多数の人が亡くなった。しかも、このモールと洪水被災地は隣り合っていた。多くの人に知られていないが、実はこのモールで火事が発生した際、スーパーのレジでは洪水被災者に寄付するためと食料品や水を買い求める人たちの長い行列が出来ていたという。

 ミンダナオの人たちは、紛争や中央政府からの無関心に慣れているので、困難に直面した際、それに立ち向かう心の余裕を持っている。マニラなどでは年末のショッピングで人々が忙しい中、ダバオやカガヤンデオロなどの都市では支援が必要な人々に対する思いやりと連帯の気持ちが高まっていた。この純粋な「バヤニハン(助け合い)精神」が洪水被災者たちや救援者たちに無料で飲み水や食料を提供しようとする買い物客らを鼓舞したのだ。

 このミンダナオ地方の困難に対して同情を見せない者たちがいる。救援物資などを取り扱う地方や中央政府のリーダーたちに対し、「伝統的政治家」だとか災害時に私腹を肥やす者などと罵倒する人たちだ。しかし、私たちは緊急時に一緒になって働く地方自治体の幹部たちの役割を高く評価する。

 2017年のミンダナオは大きな戦闘があったにもかかわらず投資を惹きつけ、地方経済は成長した。災難が降りかかってもこの「約束の地」の成長と発展を止めることはできない。(26日・ブレティン、ジョーン・トリア氏)

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