比農務省(DA)は、2023年に国際連合で採択された、「国連公海等生物多様性協定(BBNJ協定)」へのフィリピンの批准を促進するため、外務省への全面的な支援を行っている。フィリピンは同協定の早期署名国であり、2024年にマルコス大統領が条約の批准を進めたが、上院の承認が完了しておらず、批准に至っていない。
同省は、「同協定に参加することで、世界の海洋政策におけるフィリピンの影響力が強化される」とし、条約の批准に向けた取り組みを進めている。また、2016年の南シナ海仲裁判断に基づき、比沿岸地域の地域社会と、海洋生物多様性の保全にもつながるという。ラウレル農務相はBBNJの批准について、「国連海洋法条約に基づいた海洋保護へのフィリピンの強い決意が示される」と述べ、国家管轄外区域(ABNJ)に接する島国として、条約批准の重要性を唱えた。
同協定は、国家管轄外区域における、海洋生物多様性(BBNJ)の保全を目的とした国際条約。国家管轄外区域は公海と深海底が該当し、公海の面積は海の全面積のおよそ6割を占める。
同協定の批准国数は、8月時点で55カ国。発効要件の60カ国には届いていないが、23日から26日の国連総会で開催される特別条約発効イベントで、批准国数を達成する見込み。
4月には、同協定の発行準備委員会の第1回会合がニューヨークで行われ、農務省水産担当次官のバヤテ氏が参加。各国代表団に対し、包括性の高い意思決定や、先住民族を含むオブザーバーの参加など、BBNJ協定の真の精神を反映した規則の採択を強く求めた。
なお、日本は各国の批准動向を見極めつつ、批准を検討する姿勢を示している。環境省は5月、同協定に締結した場合に事業者が行う手続きのガイドライン案を作成し、パブリックコメントを実施した。宇井日菜)