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悲惨なのは無実の犠牲者 違法薬物対策

2016/12/18 社会

 ある日曜の明け方のこと。首都圏パサイ市マホガニー通り沿いにある民家で、ドミンゴ・マノスカさんは眠りから覚めた。窓から男がそれを見ていた。握られた拳銃がマノスカさんを狙っていた。発射された銃弾は、マノスカさんに当たらず、そばにいた5歳の息子に当たった。男はマノスカさんもあらためて殺害。マノスカさんは、国家警察に違法薬物の使用で自首していたという。

 現政権が進める麻薬戦争という名を借りれば、人命を奪うことも許されると印象づけるような事件だ。マノスカさんの息子は、この残虐な「戦争」で犠牲になった初めての子どもではない。今後も、罪のない犠牲者は増えるだろう。国家警察と「自警団」がこの過度な殺害を止めようとしないからだ。

 国家警察の記録をみると、ドゥテルテ政権になってから1日に平均30人が殺害されている。人権団体は計5600人が麻薬戦争関係で殺害されていると指摘するが、国家警察は、警官による殺害は2100件、残りは原因を捜査中としている。

 7月1日から12月14日までで、国家警察が逮捕した薬物密売、常用の容疑者は計4万932人。90万8244人が自首した。

 これまでなら、国家規模で追悼日を設けるほどの死者数だ。なぜ取るに足らない路上の売人だけが死んで、国民を傷つけ国家の発展を阻害するような政府の略奪者は普通に生活し、選挙で当選までしているのか。

 麻薬戦争の名の下に、殺人者が路上を自由にうろつき血が流れている。異常なほど多くの死者が出ているため、殺害したのが警官なのか、一般の犯罪者なのかを捜査することすらできないようだ。しかし、最も悲惨なのは、マノスカさんの息子のような無実の犠牲者たちである。(15日・スター)

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