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キアポのイスラム学校

2002/3/24 社会

「真の教育で国に平和を」

  「アッサラーム・アライクム(あなたの元に平安を)」。幼稚園レベルの教室をのぞくと、白いベールをかぶった女の子たちが笑顔であいさつしてくれた。黒板に書かれたアラビア語を慣れない手つきでノートに書き写していた。

 イスラム教徒居住者が多いマニラ市キアポにある首都圏での代表的イスラム寺院「ゴールデン・モスク」。その敷地内に土日に開講するイスラム学校「マハッド・メトロマニラ・アル・イスラミ」がある。

 同校は一九九九年二月、英語教師だった現校長のハジ・アリ・アラウイさん(52)が設立した。「大半の親は子供にイスラム信仰を教える余裕がない。この現状を変えたい」との思いが開校につながったという。

 現在、同校には幼稚園レベルと小学レベルの二コースがあり、約二百五十人が学んでいる。四歳児から入学できるが、イスラム教の聖典コーランやアラビア語を学ぶ意欲があればだれでも受け入れている。

 アラビア語の読み書きを学ぶ幼稚園レベルは三クラスあり、コンクリート造りの平屋で授業が行われている。担任のフィリピン人女性(37)は「文字が難しいアラビア語を教えるのも根気がいるけれど、居眠りしたり教室を飛び出す子供にも手を焼いている」と笑う。

 九クラスある小学生レベルは礼拝場の一角を教室に使っている。生徒は十代が中心だが三十代︱五十代の信者も一緒に机を並べる。授業科目はアラビア語文法や読解のほか、コーラン、イスラム法、アラブ諸国の歴史、文化、理科、数学と多岐にわたる。

 「できるだけ多くの子供たちに教育の機会を与えたい」との理念に基づき、授業料は無料。運営資金はもっぱら地元信者からの寄付でまかなっており、十五人いる教師のほとんどがボランティアで教えている。

 フィリピンにいる大半のイスラム教徒はアラビア語が読めないため、英訳付きのコーランを手にしているという。「アラーの言葉はアラビア語。イスラムの教義を本当に学ぶにはアラビア語を習得し、コーランを深く読み込まなければならない」。校長はイスラム学校設立の意義を説明した。

 また、「私たちは規律ある平和な社会建設を望んでいる。反政府ゲリラ活動を行うイスラム教徒は教育を十分に受けておらず、イスラム教の教えを真に理解していない」と主張。ミンダナオ問題を解決したいとする政府に対し、イスラム学校支援を訴えている。

 「真のイスラム教徒を育てたい。国を平和にするためにはイスラム教育が不可欠」。次世代を担う若いイスラム教徒を育成している校長の信念である。(栗田珠希)

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