フィリピン沿岸警備隊(PCG)と漁業水産資源局(BFAR)は16日から18日にかけ、公船4隻を投入して南シナ海で、比漁業従事者と共に集魚装置(FAD)40基の設置任務を実施した。その際、4隻の中国海警局(CCG)巡視船が追尾、棄権操船による妨害行為を行った。PCG南シナ海問題担当のタリエラ報道官が18日に発表した。
PCGは日本から調達した44メートル級巡視船3隻を投入したほか、また、PCG職員が乗り込んだ50メートル級漁業取締船「ラプラプ」、漁運搬船「ママラカヤ」が参加し比較的大規模の船隊を編成。それに対し、海警局は大型巡視船「海警5101」、「海警5103」、巡視船「海警21549」、「海警21588」、の4隻体制で妨害した。
タリエラ報道官によると、16日午後8時ごろ、南シナ海南沙諸島で比が実効支配するラワク島(ナンシャン島)近海にPCGが到着したときに、海警船が追尾を開始。活動中、海警船団は、比漁船を比公船から引き離そうとしたほか、PCG船の船首を横切るなど危険な航行を行った。
中国船舶の南シナ海での活動を監視する団体「シーライト」のレイモンド・パウエル代表(米退役空軍大佐)は18日、自動船舶識別装置(AIS)の分析結果として、「比巡視船2隻、BFAR船1隻が、パラワン島からわずか50~55カイリの比の排他的経済水域(EEZ)で、海警船3隻と対峙(たいじ)していた」と報告。その内容は米紙ニューズウィーク電子版でも報じられた。
タリエラ報道官は「平和的な民間主導の取り組みを妨害しようとする海警局の行動は、相互尊重と国際法の原則に著しく反する」と非難。「こうした戦術は、地域の信頼を損なうだけでなく、西フィリピン海(南シナ海で比が権益を有する海域)における平和と協力に対する真の脅威を露呈させる」とした。(竹下友章)