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初の軍艦撃沈訓練を実施 過去最大のバリカタン開始

2023/4/12 政治
バリカタン開始式に出席した、左からリクディン比演習指揮官、センティーノ国軍参謀総長、バリアバ米国臨時代理大使、ベレラン比海軍准将、オースティン米演習指揮官=11日、首都圏ケソン市国軍本部で竹下友章撮影

今年のバリカタンでは初の比米合同沿岸実弾演習を実施。退役軍艦を撃沈する訓練など

 首都圏ケソン市アギナルド国軍本部で11日、38回目を迎える年次比米合同陸海空総合軍事演習「バリカタン」の開始式が開催された。

 同演習の報道官を務めるマイケル・ロヒコ比陸軍大佐は記者団に対し、バリカタンでは初めて実施される26日の比米合同沿岸実弾演習で、比海軍退役艦を撃沈する訓練が行われる予定であることを明らかにした。

 今年は米軍から約1万2200人、比国軍から約5400人が参加。豪州国軍111人も初めて正式参加し、過去最大の約1万8000人規模となる。

 同報道官によると、実弾演習はルソン地方サンバレス州で実施。同州は2012年以降中国に実効支配を奪われた南シナ海中沙諸島スカボロー礁に面する。領海の内側である海岸線から12カイリ以内の海上に、退役比海軍コルベット艦BRPパンガシナン(PS―31、56・2メートル)を配置し、米軍の高機動ロケット砲システム「ハイマース」などを用いた軍艦迎撃・撃沈訓練を行う。

 射程70~300キロのハイマースはロシア・ウクライナ戦争でウクライナの反転攻勢を可能にし「ゲームチェンジャー」と呼ばれる。地対艦ミサイルとしての運用も可能だ。

 同報道官によると、マルコス大統領が同実弾演習を視察する予定。さらに、日本、インド、英国、カナダ、東南アジア諸国連合(ASEAN)の各軍の将校がオブザーバー参加する方向で調整中だという。

 自衛隊については「ジェネラル・ヨシダが参加する」と発言。自衛隊トップの吉田圭秀第7代統合幕僚長を指したものとみられるが、在比日本国大使館はまにら新聞に対し「誰が訪問するかも含め、まだ調整中」と回答している。

 自衛隊トップが訪比した前例としては、岩崎茂第4第統合幕僚長、河野克俊第5代統合幕僚長がそれぞれ2012年、2015年に、米軍の人道支援共同活動(パシフィック・パートナーシップ)への自衛隊参加に際し比を訪問したことがある。今回、吉田統合幕僚長の訪比が実現すれば、比での軍事演習では初の自衛隊トップのオブザーバー参加になるとみられる。

 また、同報道官は「来年以降も合同実弾訓練を行うか」とのまにら新聞の質問に「実施する」と明言した。

 会見では合同訓練の比側の指揮官を務めるマービン・リクディン比陸軍少将が「離島防衛・奪還訓練は含まれるか」とのまにら新聞の質問に「パワラン州の一部で沿岸や海岸線で離島防衛・奪還演習が行われる」と明らかにした。

 それについてロヒコ報道官は、中国との主張が対立し、比がパラワン州カラヤアン町として領土内に加える南沙諸島は「演習場所に含まれない」と補足説明。一方で「全ての演習は戦闘への準備を示すためのものだ」と語気を強めた。

 米軍はハイマースのほか、広域防空用地対空ミサイルシステム「パトリオット」、近距離防空ミサイルシステム「アベンジャー」も投入。国外からのミサイルや無人機などによる攻撃への迎撃を想定した訓練を行うとみられる。

 開始式でアンドレス・センティーノ国軍参謀長は「比米豪のほか、各国からオブザーバーを招いており、国境を超えた共同となる」と指摘。ヘザー・バリアバ駐比米国臨時代理大使も複数国の参加を強調し「今年のバリカタンは同盟の成長と共通の目標に向けた進化の方向性を示す」と述べた。(竹下友章)

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