ブラカン、カビテ、ラグナ各州の一部などで水道事業を行っているビリヤール財閥傘下のプライムウォーター・インフラストラクチャーによる水道供給について住民や自治体、学校などから慢性的な断水や給水サービス不足などについて苦情が相次いでいる問題で、地方水道施設庁(LWUA)のホセ・サロンガ長官は13日、「サービス改善が見られない場合、同社との水道事業運営契約を破棄して、水道事業を国営化することも検討している」と明らかにした。
マルコス大統領は今年4月、同社の水道サービス事業における不十分な給水サービスや高すぎる水道料金などに関する苦情が相次いでいるとして、同庁に調査を行なうよう指示していた。
また、大統領が今月16日からの新学期を控えた公立小学校や高校の校舎における一斉清掃活動を視察するためブラカン州マロロス市の公立学校2校を訪問した際、同社が管轄する学校の水道が長期にわたり断水していたことが判明、大統領が問題視していた。これについてサロンガ長官は13日、マロロス市の2カ所の公立学校で水道供給が復活したことを明らかにした上で、同社の全国における水道供給サービスの実態を報告書にまとめており、近く発表するとしている。
さらに、同長官は、大統領が視察したブラカン州サンミゲル町の公立学校でも同様な断水状況が判明しており、この町の水道事業運営会社が実業家のルシオ・コー氏が経営するパマナ・ウォーター・コーポレーションであることが分かっていることも明かした。
プライムウォーターはブラカン州やカビテ州、ラグナ州やヌエバエシハ州、北カマリネス州やマライバライ市など全国で水道事業を展開している。
12日付のオンラインメディア、ラップラーによると、マルコス大統領は4月、LWUAに対して、ドゥテルテ政権下に結ばれたプライムウォーターと地方水道局などとの間の合弁事業契約とその運用の実態について調査するよう指示を出している。カストロ大統領府報道官は5月2日、このような合弁事業契約が73あると表明したが、市民団体などからは同様な合弁事業契約が130あるとの指摘がなされている。
プライムウォーター社は現在、全国170万世帯に水道を供給する国内の水道サービス事業者として最大手の一つとされている。 (澤田公伸)