サラ副大統領は21日、次期上院選に立候補しているアイミー・マルコス上院議員、比有数の実業家で上院議員のマニー・ビリヤール氏の娘カミール・ビリヤール下院議員、およびドゥテルテ前大統領が名誉総裁を務めるＰＤＰラバンの公認10候補について、「共通のビジョンを有している」として、正式に推薦すると発表した。英字紙スターなどが22日報じた。

　アイミー上院議員は、弟のマルコス大統領が率いる与党選挙連合「アリャンサ」の公認上院議員候補に指名されながらも先月26日に正式に辞退し、ドゥテルテ氏逮捕の違法性を上院で率先して追及するなどドゥテルテ家との連携を選んだ。一方、アリャンサ公認候補となっているカミール・ビリヤール氏の推薦にも踏み切った。直近の世論の追い風を背景に、アリャンサ公認候補であってもサラ氏人気に乗じられる道も残したことで、有力候補を多数そろえるマルコス陣営への揺さぶりを行ったとの見方もできそうだ。

　２０２１年の副大統領選立候補前から、政治的にはドゥテルテ氏と別行動を取ってきたサラ氏。ドゥテルテ氏の逮捕・国際刑事裁判所（ＩＣＣ）への引き渡し後を機に、父との関係が近づいたことに伴い、ドゥテルテ陣営との政治的連携も強化した格好だ。

　直近の民間調査会社パルスアジアによる世論調査で、サラ氏の支持率59％、信頼率61％に上昇。それについてサラ氏は22日、記者団に対し、「ＳＮＳや政治家などからたくさんの中傷を受けているから、これだけ多くの人に信頼されていることに驚いた」と述べた上で、「以前、私が大統領選に立候補しない場合でも、私の支持者の票はロムアルデス（下院議長）には行かないと言ったが、彼の陣営はこのことを認識するべきだ」と述べ、サラ氏の支持率増減にかかわらず支持率が上がらないロムアルデス氏を皮肉った。

　選挙を経て上院の構成が代わる７月に開廷が予定されるサラ氏への弾劾裁判については、「弁護団を信頼している。彼らは私の勝利を確信している」と述べた。弾劾裁判所の判事は上院議員によって構成されるため、サラ氏の政治生命は５月に控える上院選でどれだけ多くの親サラ候補を当選させられるかに大きく左右される。（竹下友章）