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ハンセン病患者の自立支援

1999/9/26 社会

名 所 探 訪 ぬいぐるみ工房

 カロオカン市タラにある国立ホセ・ロドリゲス医師記念病院は数少ないハンセン病の療養施設の一つ。その一角に退院患者やその家族らの自立を目的に設立された「ぬいぐるみ工房」がある。

 看板もない作業場をのぞくと、女性の弾む会話の声が耳に入ってきた。裁断から縫製、包装までの各作業ごと班に分かれ、各班は七、八人で構成。現在、患者とその家族ら計百七十人が働いている。大半は女性で、年齢は二十歳代から六十歳代まで。テーブルに積まれたスカートや「髪の毛」を裸の人形に縫い合わせていく。おしゃべりを楽しみながら、器用に針を進める。

 この工房の起源は一九七七年にさかのぼる。患者支援のために来比したスペイン人修道女、カルメンさん(73)らシスター三人が「患者らに希望を与えよう」と設立、作業員五人でスタートした。

 当初は、リュックサックにぬいぐるみを詰め込み、マカティ市のデパートなどに行商もした。だが今や、赤ずきんちゃんや白雪姫、三匹の子豚などの童話をモチーフにしたぬいぐるみには、日本や米国、欧州各国から大量発注が相次いでいる。在留邦人の間にも人気が高い。

 その秘密は、しっかりとした作りと表情の豊かさにあるようだ。赤ずきんちゃんのおばあさんの意地悪さやピーターパンに登場する海賊のしかめっ面などが巧みに表現されている。さらに、上下逆さまにすれば、二人の登場人物が表れるなどユニークなアイデアが受けている。価格も二百ペソ前後と手ごろだ。

 これまでに作製してきたぬいぐるみは約三百種類。工房には、作品展示館もあり、直売もしている。日本のボランティア団体の代表は、「日本での売れ行きもよく、高い評価は定着した」と話している。

 カルメンさんによると、来比した当時は、患者やその家族の生活は最低だった。また、病院の施設も最悪の状態で、「病室の床の一部が抜けていたり、ベッドシーツや包帯もなかった」と振り返る。カトリック教団体などの寄付に加え、工房からの収益も着実に増えていき、薬の購入、患者家族への住居提供、病院施設の改善が進んだ。

 「ハンセン病患者の自立のためには地域住民の理解が必要。フィリピン的なおおらかさで受け入れてくれたため、工房もここまでこれた」とカルメンさん。このため、地域住民に対し井戸の増設などの慈善事業も行っている。今後は、製品管理や工房の運営を任せられる後継者の育成が課題という。   (上野洋光)

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