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11月26日のまにら新聞から

大国になびいた決断 ロヒンギャ国連決議

[ 649字|2017.11.26|社会 (society)|新聞論調 ]

 ロシア、中国、シリアなどの国とフィリピンとの共通点、それは、迫害を逃れバングラデシュに難民として流れ込むロヒンギャの人々をめぐり、ミャンマー政府の軍事力行使を停止するよう求める国連決議案に反対票を投じたことだ。

 決議案は賛成135、反対10で可決となり、ミャンマー政府にロヒンギャへの軍事力行使の停止のほか、市民権付与や人道支援を呼びかけた。決議に強制力はないが、仏教国ミャンマーにおける少数派のロヒンギャへの良識の勝利だった。

 一方で、反対票を投じた比政府は人権を尊重する意識の欠如を露呈させた。カエタノ外務長官に言わせれば、賛成票はミャンマー政府の態度を硬化させ、比政府による人道支援に支障をきたす恐れがあるらしいが、彼はすでに起こっている深刻な人道被害には無頓着のようだ。

 比は東南アジア諸国連合(ASEAN)会合の議長国声明でも、ロヒンギャ問題への懸念を表明しなかった。ASEAN諸国は「不干渉主義」を掲げる反面で、仲裁裁判所の判断を無視し南シナ海での主張を通そうとする中国の行動については黙認している。

 しかし、頻繁に自然災害に見舞われ、他国からの支援と善意に依存する国として、われわれは災難の最中にある人々にことさら心を寄せるべきではないのだろうか。

 また、国連決議に賛成票を投じていれば、比が大国を恐れずに主権と独立をもって法を尊ぶ姿勢を示すことができただろう。それは、われわれが自尊心と国家としての誇りを取り戻す好機であったはずだ。(23日・インクワイアラー)

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