RAAが委員会承認 批准に向け本議会へ
比日RAAが上院外務委員会で承認。本会議で批准手続きへ
上院外交関係委員会(アイミー・マルコス委員長)は25日、日本・フィリピン間の訪問部隊協力円滑化協定(RAA)に関する審議を開き、同条約案を本会議にかけることを承認した。上院本会議にかけられ、3分の2以上が賛成すれば条約批准に必要な議会承認が得られる。RAAは訪問部隊の法的地位を定める内容で、締結されれば、比日関係はいわゆる「準同盟関係」に近づく。
上院外務委員会でテオドロ国防相は、現行の法制度化で自衛隊と実施できる合同軍事演習は、領海の外で行う「海洋共同活動」だけと説明。同条約を締結すれば自衛隊が比米総合軍事演習「バリカタン」や比豪軍事演習「アロン」への正式参加が可能となると説明した。
さらに同相は、同条約案の20条にフィリピン側の要望が反映され、 環境・文化の保護と先住民の権利尊重の条文が盛り込まれたことを明らかにした。また、締結によって「フィリピンにおける人道支援・災害対応(HADA)への自衛隊のさらなる参加が可能となる」とした。
同相はまた、RAAは軍事基地協定でないことを説明したほか、刑事事件や懲戒処分に関する訪問部隊員の法的地位は21条に定められ、付録、合意された議事録によって補足されていると解説した。
今回、委員会承認の動議を出したズビリ上院議員(前議長)は、「RAAはわが国のような災害多発国にとって、まさに生命線。自然災害か人によるものかにかかわらず、共通の危機に対処する強靭(きょうじん)性のあるフィリピンというビジョンを反映している」と主張した。ズビリ氏は日本との訪問部隊協定(VFA)締結の主唱者で、岸田文雄前首相、越川和彦前駐比大使との協議を進めてきた人物。5月に突如議長を解職されたが、なお上院内で自身のグループを保持し、強い影響力を持つとされる。
上院海洋・海事区域特別委員長を務め、国防政策を専門とするトレンティーノ上院議員はRAAに「完全な支持」を表明。「後知恵だが、漁業技術への協力条項も盛り込めばよかった」との考えも述べた。
比日RAAは7月に政府間で署名されたが、批准するには両国の議会承認が必要であり、比で条約承認権は上院が有している。RAAはVFAと同種の条約で、日本はこれまで豪州、英国と締結している。テオドロ氏は以前、比日RAAにも訪問部隊が接受国の軍事施設にアクセスできるようにする条項が含まれると述べている。竹下友章、ロビーナ・アシド)