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6月19日のまにら新聞から

「比への主権侵害止めよ」 対中国 南シナ海問題で米国務省

[ 831字|2022.6.19|政治 (politics) ]

米国務省「中国は比のEEZ内であるセカンド・トーマス礁近海で比主権を冒している」

ボンボン次期大統領を表敬訪問するロビンソン駐比オーストラリア大使=在比オーストラリア大使館公式ツイッターより

 米国務省プライス報道官は17日、南シナ海(比名・西フィリピン海)問題について「比の排他的経済水域内であるセカンド・トーマス礁(比名アユギン礁)近海で中国が比の主権を冒している」とし、中国に自制と国際法の順守を求める声明を出した。その中で同報道官は、フリアンフェリペ礁(英名ウィットサン礁)周辺に中国船舶が集結したことと合わせ「中国は挑発行為をしている」と批判。また、比政府に対しては「懸念を共有している」とし「同海におけるルールに基づいた国際秩序と航海の自由を尊重する点で、米国は同盟国である比を支持する」と明言した。

 外務省は先週、比中外交樹立記念日(比中友好の日)の9日に合わせ中国に外交的抗議をしており、それに呼応した格好だ。

 比が実効支配しているアユギン礁周辺では、昨年11月に比が詰め所としている座礁船への補給船に対し、中国海警局が放水するという事態が発生。一方フアンフェリペ礁は中国が実効支配するが、去年3月同礁周辺海域に中国船約220隻が集結。その後一時姿を消したが、今年4月100隻規模で操業を再開していた。

 ▽豪も支持表明

 ロビンソン駐比オーストラリア大使は17日、ボンボン・マルコス次期大統領に表敬訪問を行った。同大使は会談の内容について「西フィリピン海の状況についても意見交換を行った。(中国の主張を退けた)仲裁裁判の結果を踏まえ比の立場を支持することを改めて約束した」と述べた。 

 また比豪軍事関係については「過去6年間でどれだけ比豪軍事関係が深化したかについて意見交換を行った。比豪両軍の共同演習や(豪軍による)比への支援のあり方についても議論した」とした。

 比豪両政府は1995年に防衛協力に関する覚書を交わし、合同防衛協力委員会を設置。12年には比豪相互訪問軍地位協定(SOVFA)を締結し、17年のマラウィ市街戦では同協定に基づき豪軍を派遣した。同年には比豪海軍間戦略会談も始まっている。(竹下友章)

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