「日刊まにら新聞」ウェブ

1992年にマニラで創刊した「日刊まにら新聞」のウェブサイトです。フィリピン発のニュースを毎日配信しています。

マニラ
35度-24度
両替レート
1万円=P3,705
$100=P5720

7月7日のまにら新聞から

サラ政党に与党合流か ラカス、ナショナリスタなど

[ 1167字|2021.7.7|政治 (politics) ]

サラ氏の改革党にPDPラバンなどを除くラカス党など与党5党が合流か

大統領の娘であるダバオ市のサラ市長(右)とアイミー・マルコス上院議員=19年2月撮影(EPA=時事)

 与党連合のうちラカス党など与党5党がドゥテルテ大統領の娘でダバオ市長のサラ氏の政党「改革党」に合流する動きを見せている。6日付英字紙トリビューンが報じた。サラ氏の大統領選出馬は確実で当選の可能性が高いと見た動きのようだ。

 同紙によると、合流の動きを見せているのは、ラカス党(ラカスCMD、党首ロムアルデス下院与党院内総務)、国家統一党(NUP、党首・エルピド・バルザガ下院議員)、ナショナリスタ党(党首・マヌエル・ビリヤール元上院議員)、フィリピン大衆党(PMP、党首・エストラダ元大統領)、国民改革党(PRF、党首・ナルシソ・サンチャゴ氏)の5党。

 改革党は2018年にサラ氏が地域政党として設立した政党だが、アイミー・マルコス上院議員ら他党に所属しつつ改革党にも加わる議員が続出、事実上の全国政党になっていた。5党が合流した場合、改革党は上下両院議員数でPDPラバンを大きく上回り、次期大統領選の結果を左右する一大勢力となりそうだ。

 サラ氏自身は大統領選への出馬表明をしておらず、サラ陣営の広報担当者は「熟慮する時間が彼女には必要で、決断は10月までに下す」としているが、「出馬は確実」とフィリピン政界の下馬評ではみられている。

 ▽サラ氏は誰と組むか

 今回の5党合流が実現した場合、大統領選の与党候補は、サラ氏とサラ氏が選ぶ副大統領候補と、PDPラバン陣営が決定する正副大統領ペアの2組になる可能性が高い。

 サラ氏の副大統領候補にはテオドロ元防衛相の名が挙がっているが、ボンボン・マルコス元上院議員らも最近サラ氏の誕生日祝いにダバオへ駆け付けるなど接近しており、姉のアイミー氏を含めて地盤がルソン島北部のマルコス家の姉弟のいずれかと組む可能性もある。

 一方、PDPラバン側の候補としてはドゥテルテ大統領が副大統領選に出馬する可能性が濃厚になってきた。

 大統領は1日、「空きがあれば」としつつ「私は次期副大統領候補の1人」と自ら表明。これまでは下院議長選出で紛糾した際の約束として、ロムアルデス下院与党院内総務が副大統領に立候補する場合は「私は出ない」と言い続けてきたが、ロムアルデス氏は既に「ドゥテルテ大統領の副大統領選出馬を支持する」と自身の出馬を否定している。

 ドゥテルテ氏が組む大統領候補としては側近中の側近であるボン・ゴー上院議員が有力視されているが、最近、政権内の汚職問題を告発し、PDPラバンから離脱する可能性が出ているマニー・パッキャオ上院議員の顔を立てて大統領候補に据えるとの見方もある。

 ただし、フィリピンの正副大統領選は米国のようにペアで選ばれるのではなく、別々に選ばれるため、結果的にサラ大統領、ドゥテルテ副大統領の父娘ペアが誕生する可能性もある。(石山永一郎)

政治 (politics)