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1月5日のまにら新聞から

台風オデット被災地は今① 「セブの状況にも目を」 在セブ日本総領事に聞く

[ 1965字|2022.1.5|気象 災害 (nature) ]

まにら新聞は12月31日〜1月2日、主にセブ市、そしてマクタン島を訪ね、台風被害の状況を記録した

(右)セブやその周辺の状況について語る川﨑敏秀在セブ日本国総領事=2日午前、ビサヤ地方セブ市内で岡田薫撮影。(左)台風オデットの力で桟橋に乗り上げて座礁したタンカー=3日午前、ビサヤ地方ラプラプ市のモーベンピックホテルそばで岡田薫撮影

 ビサヤ地方のセブ州やセブ市は、2021年最後の12月16日夜から17日早朝にかけて近年稀にみる雨量と強風を伴った台風22号(比名オデット)に襲われた。観光でフィリピンを訪れる日本人にとって常夏のリゾートなどで知られるマクタン市(マクタン島)は、東方対岸の同市オランゴ島、マクタン島に隣接するセブ州コルドバ町を含め、壊滅的な被害に見舞われ、比人のみならず在留邦人は電気や水、通信手段も断たれた中で、日々支援を待ち望んでいる。まにら新聞は12月31日〜1月3日、主にセブ市、そしてマクタン島を訪ね台風被害の状況を記録した。

 2021年3月末に、初代総領事として着任した在セブ日本国総領事館の川﨑敏秀総領事も台風オデットの被災者の一人だ。1月2日時点で住居(公邸)のある地区では電柱が倒れ、電線も分断されているという。その結果、電気や水道は停まったままだ。公邸で2日間過ごしたが「次第に生活が困難になり、総領事館の自室へ家族で移って寝泊まりしていた。最終的に市内のホテルに空きが出たため、そこに滞在しながら公務を続けている」。

 総領事によると、セブ州でも中部トレド市やその北部にあるトゥブラン町の復旧は早かった。セブ市北東のダナオ市は昨年12月29日ごろに復旧。人口が多いセブ首都圏が、立て直しに最も時間を要している。総領事は「電線が多く絡まっていて、どの電線がどこに行っているのか分からない状態だ。切れてしまうとどこが元の線かたどれなくなることも要因にあるのでは」との見方を示した。電気復旧は病院や警察署、電動汲み上げ式の井戸を使う給水所付近を最優先しているため、住宅地は二の次だという。信号機も大半が停止したままだ。「西隣りのネグロス島は海沿いやリゾートで特に被害が出ているが、セブ島やボホール島では通信回線断絶などの状況が酷い」とした上で「生活のための復旧を早く進めてもらいたい」との気持ちを述べた。

 物資そのものはセブ市でも、現金さえあれば市場で買うことができ「安定してきたように見える」。領事館では緊急用の食糧や水の提供、充電サービスを訪問者向けに続けているが、大晦日は2人のみで、元旦に領事館を訪れた人はいなかったという。

▽現地へ行きたい思いはあるが

 川﨑領事自身、死者が100人を超す甚大な被害が出たボホール島へも足を運びたい思いはある。ただ「現地も緊急対応など大変な状況の中、行けばかえって迷惑がかかってしまう。日本でも同様、勝手に被災地に入られると被災地の人々がより苦労することになる。だから遠くから見ていて、できることをしてあげた方がいい」と語った。

 セブ市対岸のマクタン島には領事も足を運んだ。マクタン島では空港や橋の上に上らないと通信が繋がらないと聞く。ただ、邦人も住むマリバゴ地区では「海岸付近では電波が届くこともあるとの情報もある」という。しかし、そこに住む人にそうした情報は届いていない。領事は同島の印象として「復旧の速度に差がある。海沿いのリゾート被害は酷い。容易に回復できないだろう。地元紙は復興に約1年半かかるとも報じているが、私もそう感じざるを得ない」との危惧も伝えた。ただし、同島の工業団地では電気復旧が進んできているという。

▽セブの状況にも気づいてほしい

 総領事は比政府の支援の動きを「一度に全部のことはできないため、彼らはできるところから進めている。『ちゃんと見ているよ』という姿を一所懸命示してくれており、とてもよくやっていると思う」と評価した。その一方で、「セブの酷い状況にマニラ首都圏の人たちはあまり気がついていないのかな」と感じる面もあるという。

 領事館は、二国間や国際機関、日本の国際NGO、在留邦人団体、比登録のNGOなど「そうした幾つかのスキームの組み合わせで、協力したいと思っている」。二国間では日本からの発電機やテント、スリーピングパッド、浄水器などの援助物資が、12月31日にセブに到着した。ボホール分も届いており、セブ分は配布先の自治体を調整している。元旦に倉庫を確認する予定だったが、比側の都合で延期になったという。セブを通じたボホール分も近々セブを発つ。その他のビサヤ地方へは首都圏から直接送られている可能性もあるという。いずれも社会福祉開発省を中心に早急な配布が望まれている。

 国際協力NGOジャパン・プラットフォームでは、台風オデットの国際名である「フィリピン台風ライ被災者支援」事業を12月25日に呼び掛けた。領事館もこうした事業に非常に関心を向けている。セブ日本人会が現地NGOと協力して行っている「台風22号(オデット)セブ義援金プロジェクト」にも「できる限り協力していきたい」との思いを語った。(岡田薫)

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