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5月28日のまにら新聞から

「輸出企業のVATは免除」「クロスボーダードクトリン復活」 税制改正で財務相が明言

[ 1507字|2024.5.28|経済 (economy) ]

レクト財務相が「IPA登録技業・輸出企業への仕入れVATを免除し、クロスボーダードクトリンを復活する」と明言

フィリピン経済ブリーフィング2024で登壇したレクト財務相=27日、首都圏パサイ市で竹下友章撮影

 輸出企業が税法に規定されている国内調達に関する間接税(VAT、付加価値税)の還付を内国歳入庁(BIR)が拒んできた問題について、レクト財務相は27日、「フレデリック・ゴー大統領補佐官(投資・経済担当)と取り組んでいる企業復興税優遇法の改正法(CREATE MORE)の施行後、(投資誘致機関への)登録企業または輸出企業はVATが免除される。従って、還付申請する必要すらない」と明言した。首都圏パサイ市で開かれたフィリピン経済ブリーフィングでまにら新聞の質問に回答した。

 また、CREATE法施行以降に法執行上廃止された、経済特区を税制上の外国とみなし免税するクロスボーダードクトリンについて、「いまも有効とする経済区庁(PEZA)とBIRの間で見解が対立しているが、財務相としてどう考えるか」との質問には、「CREATE MOREでは、PEZA管轄区に限らず、クラーク、スービックなど他の経済特区を(クロスボーダードクトリンの根拠となっている)分離関税地域(SCT)と指定していた元々の認識に従ったものになる」と断言。簡潔かつ断定的なレクト大臣の回答に、会場にいたサンミゲルグループのラモン・アン社長をはじめ多くのビジネス関係者から拍手が上がった。

 CREATE法の施行細則や2022年の内国歳入庁通達24号は、SCT指定の無効化を宣言していたが、今回クロスボーダードクトリンを復活させる政府方針が明示されたことになる。下院審議を経て現在上院で議論されているCREATE MOREの草案では、VAT還付に関する判断権をBIR長官から財務相に移管する条項が含まれる。その財務相が、経済閣僚トップであるゴー大統領補佐官と足並みをそろえながらVAT問題の解決を目指す明確な姿勢が示された格好だ。

 ▽比日本商工会議所の要望に沿う

 今回のレクト大臣の発言について、フィリピン日本商工会議所の藤井伸夫副会頭はまにら新聞に対し、「当会は5月16日に上院に要望をまとめたポジションペーパーを提出したが、それとほぼ同じで、われわれの要望に答えてくれたという印象だ」と回答。「経済区外の輸出企業へのVAT免除も検討しているとしたら、新たな収穫になる」と説明した。

 フィリピン日本商工会議所は今月、上院版CREATE MORE法案の起草者で、財源委員長のウィン・ガチャリアン議員に宛てたポジションペーパーで、VAT問題を「インセンティブ関連の事項より重大な問題だ」と強調。

 その中で①VAT還付関連業務が財務省に移管された場合の担当部局への十分な人的・物的リソースの確保②還付遅延の場合に利子をつけること③CREATE法下でPEZAなどの各投資誘致機関(IPA)から権限を集約する形で設置された財務省傘下の税優遇措置再検討委員会(FIRB)について、権限を政策策定と監視に限り、インセンティブやVAT還付基準が満たされているかの判断権をIPAに付与すること④CREATEで導入されたIPA登録企業を対象とする国内税の廃止⑤クロスボーダードクトリンに基づく経済特区立地企業への一元的なVAT免税/ゼロ税率適用の復活⑥クロスボーダードクトリン以外でVAT免除/ゼロ税率を適用する場合は、その裁量権をIPAに付与すること――を提言している。

 VAT問題を巡っては、在比日本国大使館が比政府や議会に継続して働きかけているほか、昨年東京の日本商工会議所や岸田文雄首相の訪問団が比を訪れた際にも懸念を表明している。4月に正式就任した遠藤和也大使も、フレデリック・ゴー大統領補佐官に意見書を提出している。(竹下友章)

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