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3月17日のまにら新聞から

労働5団体と会合 比訪問中の米商務長官

[ 1053字|2024.3.17|経済 (economy) ]

訪比した米商務長官が比の労働5団体の代表者らとも会合を持ち、比の労働運動の状況などを聞き取った

 11~12日にかけて米政府投資使節団を率いてフィリピンを訪問したジーナ・レモンド商務長官がフィリピンの大手労働5団体の代表者らと会合を持ち、フィリピンの労働運動の状況を聞き取ったことがこのほど、明らかになった。16日付英字紙インクワイアラ―が報じた。

 レモンド商務長官は、米大統領が組織した初めての投資使節団に参加した米企業22社のトップらと11日午前に大統領府でマルコス大統領を表敬訪問したほか、比政府の経済閣僚や比企業の代表者らとの会合にも出席し、米企業による総額10億ドルを超える投資約束などを表明していた。

 米商務省は12日に声明を出し、比の複数の労働組合の代表者らと会合を持ち、労働者の権利に関する状況について聞き取ったことを明かにしていた。これらの労働問題は米国の投資家がフィリピンに投資する際に重要な論点となるからだとしている。

 12日に開催されたレモンド商務長官との会合に出席した比の労働組合は、フィリピン労働組合会議(TUCP)と進歩的労働者と団結のセンター(SENTRO)、自由労働者連合(FFF)と公共サービス労働独立連合会(PSLINK)、そしてBPO産業従業員ネットワーク(BIEN)の5団体の代表者ら。

 労働5団体も12日に共同声明を発表し、商務長官が比の労働状況、特に労働者の権利について「強い関心を示し」たと明らかにした上で、不当労働行為で糾弾されている比国内で操業する米国企業のリストを提出するよう要請を受けたという。

 TUCPの全国議長で下院議会の副議長も務めるレイモンド・メンドーサ氏は声明で「赤タグ付けや(組合リーダーたちの)超法規的殺害から、米国企業の問題に至るまで比人労働者に影響を与える諸問題を米国内で提起することを長官が約束した」と成果を強調した。また、同氏は、これらの米国企業による問題として、労働者の団結権に対する侵害行為があるとし、比製造拠点で組合結成の動きがあれば、比から生産拠点を他の地域に移すなどして組合つぶしを行う実態があることも指摘したという。

 レモンド商務長官は会合で、バイデン大統領が昨年11月に発表した覚書で、自身の政権が「労働者の権利とグローバルな労働基準を前進させるたの政府全体としてのアプローチを追求する」との姿勢を示していることを強調したという。

 この会合には国際労働機関(ILO)のカリド・ハッサン比事務所代表やカールソン駐比米国大使、フェルナンデス米国地域商務官なども参加している。(澤田公伸)

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