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8月28日のまにら新聞から

「優遇税制の完全な維持を」 VAT問題でPEZA CREATE改正草案提出

[ 908字|2023.8.28|経済 (economy) ]

PEZAがCREATE法発効前に付与された優遇措置の完全な維持を規定する改正案を大統領府に提出

 比経済区庁(PEZA)のパンガ長官はこのほど、21年に発効した税制改革第2弾企業復興税優遇法(CREATE)の改正案を大統領府に提出したことを明らかにした。改正案は、適用対象期間に関する規定を改定し、CREATE法発効前に経済特区に立地していた企業に対して付与された優遇措置については適用を完全に継続する内容。23日の英字紙ブレティンが報じた。

 同長官は「PEZA法の元々の条項をCREATE法にも残すことで、特区を独立関税地域(SCT)と扱うことが、投資を誘致するために最も重要な部分だ」と強調。CREATE法の施行細則と2022年の内国歳入庁通達24号では、税制優遇の対象となるSCT指定を無効化することが規定されている。

 CREATE法施行前はSCT指定により、各特区に間接税課税権が商品・サービスの消費地にあるとする「仕向け地主義」と、経済特区や自由港を間接税制上の外国とみなして免税する「クロスボーダードクトリン」を適用させることで、特区立地企業は法人所得税の免税や特別税率に加え、無関税輸入、国内調達に関するVATゼロレート、特区内の取引へのVAT免税などの優遇措置の対象となっていた。

 同長官は「経済特区をSCTに指定して投資誘致機関の管轄下に置くという長年のルールはPEZAや他の自由港当局が外国企業を誘致するためのセールスポイントになってきた」と指摘。その上で、「施行規則やBIR通達とは衝突しても、SCT指定はなお有効だというPEZAの主張を支持する」という訟務長官事務所の見解を紹介した。

 CREATE発効から1年を迎えた昨年4月から、特区立地企業の中でもロジスティクスサービス企業に対し、VAT税支払いを請求する通知が内国歳入庁(BIR)から届き、日系企業は大きく動揺した。

 在比日本国大使館やフィリピン日本商工会議所の働きかけが実り、今年2月に当局からロジスティクス企業が戦略的投資優先計画(SIPP)における「輸出企業を支援する活動」に該当すると解釈するとの通達が出たことで一定の進展が見られたが、既に収めたVATの還付に関しては困難な状況も続いている。(竹下友章)

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