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10月4日のまにら新聞から

現実的な雨水利用を 雨水利用新法案の行方

[ 787字|2019.10.4|社会 (society)|新聞論調 ]

 雨天になると都市部の多くのエリアが浸水し、通常の活動に支障をきたす。雨水はダムや貯水池に溜めて活用されることもなく、水路や川から海に流れていくだけだ。

 こうした雨水の貯水や処理、再供給について、再び国会議員らが議論している。国会の首都圏開発委員会がこのほど、短いヒアリングの後に、公用・商用・一般住居用の開発事業に対し雨水収集設備を設置することを義務付けることを定めた三つの法案を承認した。違反者には50万ペソから200万ペソの罰金を課すという。先の2月にも、ビリャフエルテ下院議員が、首都圏や主な大都市で計画されている1500平米以上の用地で開発される公用・商用・一般住宅のオーナーや開発業者に対し、用地面積の最低3%に当たる雨水収集設備の設置を義務付ける法案を提出している。

 しかし、国会議員らはこれらの法案を審議するよりも既存の「雨水収集・水源地開発法」(1989年)を改善させ確実に履行することに焦点を当てることもできたはずだ。この法律は、洪水防止と乾期の上水供給のために各バランガイ(最小行政区)に雨水貯水槽を建設することを求め、公共事業省に対し、全てのバランガイの井戸と雨水貯水槽の建設・水源開発・既存の井戸の修復を行うよう定めてもいる。

 土木技師のウィルフレド・セゴビア氏は、この度提出された法案について、新たな建築物についてのみ適用される点や罰金が高額な点を問題視している。また、水資源の一つに過ぎない雨水の利用を強制するのは憲法上問題があろう。さらに汚れた雨水を処理する設備の費用も高額になる。この法案が通過するとしても、強制的・懲罰的な側面は見直すべきだ。

 こうした持続可能な資源管理は、技術面だけでなく社会的・組織的な面も問題になる。分野を超えた協働、特に水資源管理と都市計画のセクター間の結びつきの強化が求められる。(1日・スター)

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