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7月28日のまにら新聞から

議員は英雄的な解決を 死刑復活議論

[ 623字|2019.7.28|社会|新聞論調 ]

 月曜日の施政方針演説で、ドゥテルテ大統領は死刑制度の復活を望むと繰り返し述べた。いまの政治勢力を考えると、議会で彼の願いはかないそうだ。

 特に麻薬密売者に対する死刑復活は人気がある。薬物問題を根絶するという政府の決意の象徴になり、複雑な問題を簡単に解決したいという大衆の心にも訴える。

 ある意味では、死刑制度は密売人に犯罪を思いとどまらせるかもしれない。

 パッキャオ氏などの一部の上院議員は、見世物的な公開処刑を望んでいる。そこに効果があったとしても、そうすると死刑はエンターテインメントになり、私たちの感性は古代ローマの剣闘士の時代にまで退化してしまう。

 また死刑復活には、経済的な正当化論もある。犯罪者を受刑者にすることは、食費と宿泊費を公費でまかなうことを意味する。犯罪者を殺す死刑の方が経済的に安価というわけだ。

 だがそれは人命に無感覚な議論だ。カンボジアのクメール・ルージュは同じ議論を心の中でしていた。そこでは、食糧不足をなくす最も実現可能な方法は飢えた者を殺すことだった。

 社会科学の中にもこの問題に対する説明がある。確実な逮捕や罪の厳しさは犯罪を踏みとどまらせるには有効でないという説明だ。

 死刑執行は殺人への欲求を満足させるが、麻薬問題を解決することはないだろう。科学に基づくリハビリや教育が大事だが、私たちの代議士は複雑な問題への英雄的な解決を好んでいる。(25日、スター、アレックス・マグノ氏)

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