無策無責任な政府
気候変動対策
比気象庁によると、年間降雨量が2020年までに最大17%増加し、50年までにはさらに平均16%で増加するという。また、1979年から09年までの30年間で首都圏の海抜が最大で1メートル30センチ沈下したとのデータもある。アジア開銀や日本の国際協力機構などが合同でまとめた報告書「アジアの沿岸巨大都市における気候変動危機と適応」によれば、バンコクとホーチミン、マニラの経済拠点は今後、もっとひどい災害を伴う台風や洪水に見舞われると予測されている。
一方、大統領府は、自然災害がもたらした被害については誰もが、たとえ政府ですら責任を問われないと信じている。つまるところ台風は不可抗力であり、政府より偉大な力が国家や国民に被害を与えたからというのだ。
よって台風ペドリン(17号)が死者を出し、家々を水没させ、1万1千以上の家族に影響を与え、30億ペソ以上の被害を出しても誰も非難されないのだ。大統領府によると、政府が出来る事は、台風の通り道となる地域の人々の安全を、「出来る範囲で、能力に合わせて確保する」ことだけだというのだ。
しかし、政府は「気候変動法」と呼ばれる共和国法があるにもかかわらず、出来ることを実施していない。今年4月から始まる予定だった気候変動緩和および適応に関する行動計画を承認し、実行に移していないのだ。アキノ大統領は、気候変動対策機関を率いる東南アジア諸国では唯一の首脳だったが、過去5カ月間、この行動計画の草案の実施に向け自分で出来ることをしてこなかった。
政府がやってきたことは国内では熱意を持って取り組んでこなかったこの問題を海外に向けて提起しただけだった。日本や米国を訪問した大統領もしかりだ。(1日・スタンダードトゥデー)