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6月5日のまにら新聞から

コロナ感染か紛争被災かの選択 マギンダナオ州の四角形地帯

[ 722字|2020.6.5|社会|新聞論調 ]

 ミンダナオ島のマギンダナオ州に国軍用語で「SPMSボックス」と呼ばれる四角形の地域がある。SPMSとはサリブ町、パガティン地区(ダトゥサウジアンパトゥアン町の一部)、ママサパノ町、シャリフアグアック町の頭文字から付けられている。過激派のバンサモロイスラム自由戦士(BIFF)の拠点として知られ、この地域は州内で最も貧しく、武装集団と国軍の交戦が激しく、さらに有力一族同士の抗争も続いく。

 過去10年以上にわたりBIFFや誘拐団、麻薬密売人、暗殺者らの無法者や犯罪組織が流れ込んできた。悪名が鳴り響き、足を踏み入れたよそ者は二度と生きて帰れないとさえ言われている。国軍も勝手に足を踏み入れることはできず、モロイスラム解放戦線(MILF)の武装解除や停戦に向けた合同調整委員会の作業部会と複雑な交渉をした上で許可を得る必要がある。

 同州では3月だけで7回の武力抗争が発生、政府とBIFFの交戦で250家族が避難した。ラマダン明けの5月24日にはダトゥサウジアンパトゥアン町のある地区に81ミリ迫撃砲が撃ち込まれ、子ども2人が死亡、15人が負傷した。サリブ町役場にも手りゅう弾が投げ込まれ、3人が死亡している。

 SPMSボックス周辺の山岳地帯に住む先住民テドゥライ族は州内でも最貧困の住民だ。英国系NGOの調査でも、地元の有力者間の抗争に恐れをなし、病気になっても町にある医療機関にかかる者は極めて少ないという。新型コロナウイルスの脅威で、同州の貧困層はさらに苦境にさらされている。住民たちは避難所で感染の危険を冒すか、交戦に巻き込まれる危険覚悟で地元に残るか、究極の選択を迫られている。(1日・インクワイアラー、ルファ・カゴコギアム)

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