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3月28日のまにら新聞から

ハロハロ

[ 723字|2016.3.28|社会|ハロハロ ]

 それは昼食中の社員食堂での出来事だった。「ブローラ」。憧れにも近いこの「街」の名前が突然、耳に響いた。不織布製造の本格化から1年が過ぎ、地元インドネシア国内に加え、東南アジア諸国にも足を伸ばし、製品売り込みを図っている。探し当てたウエット・ティシュー製造会社などに連絡を入れ、挨拶にうかがう。その際に問われるのが、「ISO(国際標準化機構)9001=品質管理=を取っていますか」だ。今、その取得に向け取り組んでおり、先の「ブローラ」は先週、来社中のISO外部監査員の口から飛び出した。

 小生の「ご出身は?」の問いに対し、監査員からの返事は「中部ジャワ州のブローラです」。「ブローラ」。小生が今住む東ジャワ州にほぼ隣接しているこの街は、インドネシア文学界に大きな足跡を残した大文豪、プラムディヤ・アナンタ・トゥール(2006年4月、81歳で死去)の出身地。最高傑作のひとつが「人間の大地」をはじめとする大河歴史小説4部作。インドネシア民族の独立に向けた自覚と葛藤を核に、壮大なスケールで話が進む。今でもベストセラーの「常連」だ。

 このプラムディヤ氏に初めて会ったのが1980年末のこと。その後も何度か会う機会があり、2001年4月には著作のひとつを日本語に翻訳、出版する許可を与えてくれた。こうした経緯から出身地「ブローラ」をいつかは訪れてみたいと思い続け、それだけに監査員の言葉には驚いた。しかも、彼氏の実家はプラムディヤ氏の実家から徒歩で数分の距離。プラムディヤ氏の甥(おい)とは小、中学校で同級生。「厳格」な監査員もこの時ばかりは笑顔を浮かべ、思い出話を語ってくれた。「ブローラ」訪問を約束したのは言うまでもない。(道)

ハロハロ